『悪魔の詩』の著者 サルマン・ラシュディ氏、4人目の妻と離婚
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【7月3日 AFP】小説『悪魔の詩(The Satanic Verses)』の著者である英作家、サルマン・ラシュディ(Salman Rushdie、60)氏が、4人目の妻パドマ・ラシュミー(Padma Lakshmi、36)さんと離婚することが明らかとなった。2日、ラシュディ氏の代理人が伝えた。ラシュミーさんから離婚を申し出たという。
■2人のなれそめ
「サルマン・ラシュディは、結婚生活を終わらせることを望んだラシュミーさんとの離婚を受け入れた。難しい時期なので、プライバシーの尊重を求めている」と代理人は語った。
ラシュディ氏と同じくインド出身のラシュミーさんは、女優やモデルとして活動し、テレビ番組の司会者なども務める。
2人が出会ったのは1999年。ラシュディ氏にまだ3人目の妻がいたときだ。
「自分で気付く前に、既に彼のとりこになっていた。ばかげているように見えたかもしれないけど、わたしたちは恋に落ちた」ラシュミーさんは、ラシュディ氏のことをこう語っていた。
2人は5年後に結婚。「中傷的で排他的」なロンドンの文学界から逃れるように、ラシュディ夫妻はその後ロンドンを離れ、ニューヨークへ移った。
■潜伏生活からセレブ生活へ
ラシュディ氏は1981年、『Midnight’s Children(真夜中の子どもたち)』で、イギリスの権威ある文学賞であるブッカー賞(Booker Prize)を受賞。
しかしその後、1988年に出版した『悪魔の詩』が、イスラム教を冒とくしているとして、同教徒から非難を受け、ラシュディ氏に対する国際的な批判が沸き起こった。
この『悪魔の詩』がきっかけで、イランの最高指導者だった故ルホラ・ホメイニ(Ruhollah Khomeini)師から死刑宣告を受けて以来、潜伏生活を余儀なくされた。
身の危険にさらされたラシュディ氏は、24時間体制で警官による警護を受け転居を繰り返す生活を強いられ、自身の子どもにさえ居場所を教えることができなかった。
10年近い潜伏生活を余儀なくされたラシュディ氏だが、その後は公の場に姿を表わすことが増え、現在では国際的なパーティーの常連となっている。
ラシュディ氏に対する脅迫が沈静化してきたため、近年では、映画『ブリジット・ジョーンズの日記(Bridget Jones’s Diary)』や米国のコメディ番組『となりのサインフェルド(Seinfeld)』に出演するなど、露出度の高い仕事にも取り組んでいる。
さらに6月には、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)からナイトの爵位を授与された。しかしこの爵位授与に対し、パキスタンやイランを中心にイスラム教徒の抗議運動が起こっていた。(c)AFP