【6月23日 AFP】イラン国営放送(Islamic Republic of Iran BroadcastingIRIB)が競争の激しさを増す24時間ニュース番組に参入する。

 イランの核開発が国際社会で物議を醸すなか、IRIBの新放送「Press TV」は、英国を含む海外から国際ジャーナリストを招き7月2日に開始される。

 首都テヘラン(Tehran)に本拠を置く同番組は、ニュース番組大手米CNNや英国放送協会(BBC)同様に30分のニュース報道のほか、トークショーやドキュメンタリー番組を放送するが、番組はイランの視点を軸に制作される。

 IRIBのホームページはPress TV開始について、「西側メディアによる世界規模でのメディアへの締め付けに対抗する」ことが第一の目的だと述べている。

 IRIB国際部のMohammad Sarafraz部長は、「(2001年)9月11日以来、西側の先入観と偏りはメディア勢力を西側の政策を支持する陣営と、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)など急進派イスラム勢力の影響を受ける陣営に2分してきた。われわれは別の見方があることを示したい」と述べ、これまでにない視点を示すことを目指すという。

 Press TVの規模はスタッフ400人以上に上り、エルサレム(Jerusalem)、パレスチナ自治区のガザ市(Gaza City)、同ラマラ(Ramallah)、ニューヨーク(New York)、ワシントンD.C.(Washington)など世界各地にリポーター26人を配置する。

 放送内容は、イスラム世界とイスラム文化の見地に立ったドキュメンタリー番組や、ダマスカス(Damascus)、ニューヨーク、ワシントンD.C.からのライブによるトークショーなどが含まれるという。

 Press TVは、これまで長年BBCとCNNによる主導的立場が続いてきた分野に参入することとなる。

 ほかの主要国でも英語によるニュース報道の独占に対抗するため、自国語でのニュース番組参入の動きが進められてきた。ロシアは2005年にRussia Todayを開始し、フランスのFrance 24がこれに続いた。

 一方、アラブ世界で圧倒的な支持を集めるカタール・ドーハ(Doha)のアルジャジーラ(Al-Jazeera)が2006年11月、Al-Jazeera Internationalによる英語放送を開始した。中東の放送局による英語放送として初めてとなった。(c)AFP/Farhad Pouladi