小さな町がクリンゴンに! スタートレック・イベントにファンが集結
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【6月11日 AFP】ジーン・ロッデンベリー(Gene Roddenberry)原作の米人気SFドラマ『スタートレック(Star Trek)』に登場する「クリンゴン(Klingon)帝国」が前週末、油田、牛の放牧地、小麦畑の広がるカナダ西部の広大なプレーリーに突如出現した。
『スタートレック』に登場する惑星「バルカン(Vulcan)」と同名の町バルカンで、毎年恒例の「Spock Days and Galaxyfest」が開催された。宇宙フェスティバルとスタートレック会議が3日間にわたって行われ、凶暴な戦士たちが多数集結した。
■作品メッセージへの共感
びょうを打った革の衣装を身につけ、2時間かけて恐ろしいメークを施してカルガリー(Calgary)から参加したPaul Carreauさんは語った。
「現実逃避だよ。『スタートレック』のオリジナルシリーズは、ベトナム戦争や不安定な社会情勢で人々が絶望に包まれた時代に、たくさんの約束や希望で満ちていた。ジーン・ロッデンベリーは、より良い世界のモデルを見せてくれた。ぼくらはその世界を、この町で再現しているだけだよ」
■農業の町に溢れる活気
毎年行われるパーティーやパレードのたびに、農業で成り立つ町の人口は、1900人から3800人に膨れあがる。今年はコンペティション「Klingon Fear Factor」も開催された。
地元ラジオで天気ニュースを担当する参加者は8日、カーク船長(Captain Kirk)のふん装で「曇り時々晴れ」の予報を出した。そのころ、町に2つしかないホテルとキャンプ場は、世界中からの旅行者で溢れ始めていた。
町の入口では、約5トンの宇宙船が旅行者を出迎え、ふわふわのキャラクター、トリブル(Tribble)がどこの店先にも置いてある。
■町名の由来
一般に考えられているのとは反対に、町の名前は、『スタートレック』シリーズに登場するミスター・スポック(Mr. Spock)の出身惑星にちなんだものではない。『スタートレック』第1話がアメリカでテレビ放映される56年前の1910年に、ローマ神話に強い関心を持った測量士が、「火の神」にちなんで駅名を「バルカン」と名付けた。
長年にわたり、地元ホッケーチームの選手は、「やたら大きくとがった耳」をからかわれ、町議員は宇宙艦隊のユニフォームを着て町政を執り行い、農地で発見されたいん石は宇宙に関する発見物として、地元紙で紹介された。
■観光業の成功
地元住民の多くは農業を営む高齢者だ。彼らは必ずしも『スタートレック』シリーズのファンではないという。しかし、中国製のバルカン人の耳は、第1回目のスタートレック会議「バルカン-1(Vulcan-1)」が1993年に開催されて以来4万個が売れており、地元経済の大きく寄与している。フェスティバル主催者によると、観光業は数百万ドルの規模に達するという。
「町の住民全員がトレッキー(Trekkie、スタートレックのファン)というわけではない。でもスタートレックは、この町を周りの町と比べてユニークな存在にしてくれている」とイベント広報担当者、Dayna Dickensさんは語った。
「わたしはずっと宇宙旅行に夢中だったから、この町に溶け込んでいるよ」と地元住民ドンさんは冗談を言った。
バルカンの町のブランド化は、新しいビジネスや住民を呼び込んでいる。新しい住宅はすでに300区画の3分の1が売約済みで、求人も盛んだ。
「1980年代に石油産業がだめになって、この町は死にかけていたので、活性化のアイデアを見つけなければならなかった。観光業は1つのアイデアだったが、それがうまくいった」
トレッキーで、フェスティバルの発起人であるPat WisenerさんはAFPに胸を張った。
「バルカンは今や地図にのる町ですよ」
■結婚式から葬式まで
観光業が盛んになって以降、この町でスタートレックをテーマにした結婚式を挙げるカップルが出現。生前バルカンに住んだことのなかった男性が町の墓地への埋葬を希望し、惑星「連邦(Federation)」の文字を墓石に入れる、といったことが起きている。
宇宙ステーションを兼ねた観光案内所のゲストブックには、フランス、日本、ハンガリー、オーストラリア、米国からの数千人の観光客が「長寿と繁栄を」と記入している。
『スタートレック・エンタープライズ(Enterprise)』が2005年に終了し、テレビシリーズの放映が数十年ぶりにストップした。しかし、J・J・エイブラムズ(J.J. Abrams)監督が、シリーズ第11作目の映画を制作中で、2008年12月に公開されるという。
これまで放映された5つのテレビシリーズは、今も全世界で繰り返し再放送されている。(c)AFP/Michel Comte
『スタートレック』に登場する惑星「バルカン(Vulcan)」と同名の町バルカンで、毎年恒例の「Spock Days and Galaxyfest」が開催された。宇宙フェスティバルとスタートレック会議が3日間にわたって行われ、凶暴な戦士たちが多数集結した。
■作品メッセージへの共感
びょうを打った革の衣装を身につけ、2時間かけて恐ろしいメークを施してカルガリー(Calgary)から参加したPaul Carreauさんは語った。
「現実逃避だよ。『スタートレック』のオリジナルシリーズは、ベトナム戦争や不安定な社会情勢で人々が絶望に包まれた時代に、たくさんの約束や希望で満ちていた。ジーン・ロッデンベリーは、より良い世界のモデルを見せてくれた。ぼくらはその世界を、この町で再現しているだけだよ」
■農業の町に溢れる活気
毎年行われるパーティーやパレードのたびに、農業で成り立つ町の人口は、1900人から3800人に膨れあがる。今年はコンペティション「Klingon Fear Factor」も開催された。
地元ラジオで天気ニュースを担当する参加者は8日、カーク船長(Captain Kirk)のふん装で「曇り時々晴れ」の予報を出した。そのころ、町に2つしかないホテルとキャンプ場は、世界中からの旅行者で溢れ始めていた。
町の入口では、約5トンの宇宙船が旅行者を出迎え、ふわふわのキャラクター、トリブル(Tribble)がどこの店先にも置いてある。
■町名の由来
一般に考えられているのとは反対に、町の名前は、『スタートレック』シリーズに登場するミスター・スポック(Mr. Spock)の出身惑星にちなんだものではない。『スタートレック』第1話がアメリカでテレビ放映される56年前の1910年に、ローマ神話に強い関心を持った測量士が、「火の神」にちなんで駅名を「バルカン」と名付けた。
長年にわたり、地元ホッケーチームの選手は、「やたら大きくとがった耳」をからかわれ、町議員は宇宙艦隊のユニフォームを着て町政を執り行い、農地で発見されたいん石は宇宙に関する発見物として、地元紙で紹介された。
■観光業の成功
地元住民の多くは農業を営む高齢者だ。彼らは必ずしも『スタートレック』シリーズのファンではないという。しかし、中国製のバルカン人の耳は、第1回目のスタートレック会議「バルカン-1(Vulcan-1)」が1993年に開催されて以来4万個が売れており、地元経済の大きく寄与している。フェスティバル主催者によると、観光業は数百万ドルの規模に達するという。
「町の住民全員がトレッキー(Trekkie、スタートレックのファン)というわけではない。でもスタートレックは、この町を周りの町と比べてユニークな存在にしてくれている」とイベント広報担当者、Dayna Dickensさんは語った。
「わたしはずっと宇宙旅行に夢中だったから、この町に溶け込んでいるよ」と地元住民ドンさんは冗談を言った。
バルカンの町のブランド化は、新しいビジネスや住民を呼び込んでいる。新しい住宅はすでに300区画の3分の1が売約済みで、求人も盛んだ。
「1980年代に石油産業がだめになって、この町は死にかけていたので、活性化のアイデアを見つけなければならなかった。観光業は1つのアイデアだったが、それがうまくいった」
トレッキーで、フェスティバルの発起人であるPat WisenerさんはAFPに胸を張った。
「バルカンは今や地図にのる町ですよ」
■結婚式から葬式まで
観光業が盛んになって以降、この町でスタートレックをテーマにした結婚式を挙げるカップルが出現。生前バルカンに住んだことのなかった男性が町の墓地への埋葬を希望し、惑星「連邦(Federation)」の文字を墓石に入れる、といったことが起きている。
宇宙ステーションを兼ねた観光案内所のゲストブックには、フランス、日本、ハンガリー、オーストラリア、米国からの数千人の観光客が「長寿と繁栄を」と記入している。
『スタートレック・エンタープライズ(Enterprise)』が2005年に終了し、テレビシリーズの放映が数十年ぶりにストップした。しかし、J・J・エイブラムズ(J.J. Abrams)監督が、シリーズ第11作目の映画を制作中で、2008年12月に公開されるという。
これまで放映された5つのテレビシリーズは、今も全世界で繰り返し再放送されている。(c)AFP/Michel Comte