【6月7日 AFP】ロンドンの首相官邸(10 Downing Street)を背景に、裸のトニー・ブレア(Tony Blair)英首相とシェリー・ブレア(Cherie Blair)夫人を描いた絵画作品が6日、ロンドンの美術館、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(Royal Academy of Arts)で発表された。

■権威ある展覧会に出品

 『イラク3部作(Iraq Triptych)』と題された横4.5メートル、縦1.5メートルの大作木炭画は、英アーティスト、マイケル・サンドル(Michael Sandle)の作品で、絵画作品に与えられる賞「Hugh Casson prize」の大賞を受賞したばかり。

 ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで毎年夏に開かれる、権威ある展覧会「Summer Exhibition 2007」に出品される。

■エデンの園を出るブレア首相
 
 性器を隠した裸のブレア首相夫妻は、恥を知り、エデンの園を出て行くという聖書の話を題材とした、中世の絵画になぞらえて描かれている。

 首相官邸の黒いドアを背景に立つ夫妻の左右には、骨や死体の一部、がい骨が山積みになっている。

 「今年は出品しないつもりだったが、ブレア首相のめちゃくちゃなやり方に対する怒りから、出品する気になった」とサンドル氏はガーディアン紙(The Guardian)に語った。

■イラク戦争での犯罪を批判

 デーリー・ミラー紙(Daily Mirror)によれば、サンドル氏は作品に『ペイン伍長のコーラス(Corporal Payne’s Chorus)』というニックネームを付けている。
 英国人で初めて有罪判決を受け、1年間服役した戦争犯罪人、ペイン伍長の事件を踏まえている。この伍長はイラク人への非人道的行為のため、4月に軍から追放された。

 サンドル氏はまた、アメリカによる2003年のイラク攻撃を支持したブレア首相の「うぬぼれ」を非難し、英国には「外国干渉」の癖があると語った。

「ブレア首相は、イラクに対する良心のかしゃくにさいなまれていないようだ。彼は正しいことをしたと確信しているからね」とガーディアン紙に語った。
「ブレア首相らは、テロの首謀者に謝罪を求めているが、攻撃以来死亡した65万人のイラク人についてはどうなるんだ」
「誰がどのようにイラクの人々にへ謝罪をするのか」

 ブレア首相は6月27日に退任を控え、後任にはゴードン・ブラウン(Gordon Brown)財務相が就任する。(c)AFP