【5月24日 AFP】人間に食べられそうになったアオウミガメが中国の僧侶に救われた。そして、このカメが約3000キロも離れた日本の保護区で発見された。研究者はアオウミガメの行動を知る上で貴重な発見だと話している。

■甲羅に彫られた漢字で出身地が判明

 今月上旬、約120キログラム(約265ポンド)のメスのカメが、約3000キロ(約1860マイル)離れた日本の小笠原諸島に泳ぎ着き、発見された。

 中国人僧侶が甲羅に彫りこんだメッセージで、このアオウミガメは中国南部の広東(Guangdong)省からやってきたことがわかった。

 このカメは今年1月、レストランに売られそうになっていたところを中国人僧侶が買い取り、海に帰されたもの。その際、カメの甲羅には、日付とその僧侶の寺院の名前が彫りこまれたのだ。

■アオウミガメの日本-中国間の移動を確認

 日本の環境保護NPO「エバーラスティング・ネイチャー」(エルナ)(Everlasting Nature of Asia, ELNA)の菅沼弘行会長によれば、甲羅に漢字が彫られたウミガメは時々みつかるという。

 「中国には、『生き物を救って自然に帰すことは、徳を積む善行だ』という考え方があります。しかし、これほど多数の文字が甲羅に彫りこまれ、ウミガメがどこからやってきたのか、はっきりと分かる例は珍しいです」と菅沼氏は話す。

 また、「アオウミガメが、日本と中国本土沖を移動していることが今回初めて分かりました。大きな発見です」とも述べた。

 カメが最初にたどり着いた場所にはタマゴを産める砂浜がないため、2日後にナエルによル管理区域に移動させ、77個のタマゴを産んだ。

 中国はウミガメの主要な消費国。食材や漢方薬の原料として利用されている。