【4月5日 AFP】世界最古の動脈硬化が、古代エジプトの王女のミイラから発見されたとの研究報告が3日、米国心臓学会で発表された。

 長らく研究者たちの間では、古代エジプト人が動脈のプラーク形成に苦しんでいたことが知られていた。だがその症状が、これまで考えられていたよりも多くの人びとに広まっており、謎に満ちていることが、今回の発表で明らかになった。

 発表を行った米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)のグレゴリー・トーマス(Gregory Thomas)氏は「普通われわれは、心臓疾患や動脈硬化が現代のライフスタイルに起因するものだと考える。というのも、西洋化された先進国で、これらの症状が増加したからだ」と述べた一方で、「今回のデータは、心臓疾患についての我々の理解に、欠けている部分があることを示している。われわれは、先祖たちとあまり変わっていないのかもしれない」と指摘した。

■低脂肪食事、タバコも吸わないエジプト人も動脈硬化

 研究者たちは、エジプトのミイラ52体にCTスキャンを行い、動脈硬化の有無を調べた。動脈や心臓が判別できたのは44体だったが、そのうちの45%で、血管内のカルシウム形成がみられた。

 その中で最古のミイラは、紀元前1580~1550年に存命していたとみられるエジプトの王女だった。王女は40歳代前半で死去したと、研究者たちは考えている。

 古代エジプト人は、現代人と比べて脂肪分や肉類の少ない食事をとり、喫煙もしなかった。にもかかわらず、現代人と同じ疾患にかかっていたということになる。

■そもそも人類は動脈硬化になりやすい?

 もちろん、この調査結果は、動脈硬化予防として禁煙などを勧める現代医学の研究結果を否定するものではない。

 論文を共同執筆したエジプト・カイロ(Cairo)のアズハル大学(Al-Azhar University)のアデル・アラム(Adel Allam)氏は「たばこを吸わず、低血圧で低コレステロールでいれば、動脈硬化が遅くなることが最近の調査でわかっている」と語った一方で、「今回の調査結果は、人類が動脈硬化にかかりやすい性質があることを示している」と指摘した。(c)AFP