【9月27日 AFP】アフリカに生息するカッコウハタオリは、他種の鳥を欺いて自分のひなを育てさせる托卵(たくらん)行動で知られているが、この鳥がどれほど厚かましく子育ての義務を逃れているかを明らかにした調査結果が、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 スズメほどの大きさの、羽に縞模様がある黄色の鳥、カッコウハタオリは、他の鳥の巣に、その鳥の卵と似た色の卵を産み落とす。選ばれた鳥は自分が「仮親」であることに気付かず、自分の卵と一緒にカッコウハタオリの卵を温め、ひながふ化したら育てる。

 科学者らは今回、カッコウハタオリがこの大掛かりな「詐欺計画」をいかに根気強く実行するかを、初めて目の当たりにした。

 論文によると、カッコウハタオリの雌は、同じ仮親の巣に数回にわたり通い、できるだけ多くの卵を産むという。頻度は、おそらく2日に1個ほどとされている。同じ巣に複数の卵を産むことで仮親は混乱し、侵入者の卵を見つけて巣の外に出す可能性がさらに低くなるのだという。

 論文の著者の一人、英エクセター大学(University of Exeter)のマーティン・スティーブンス(Martin Stevens)氏は「カッコウハタオリは、宿主の防御を突破して自身の繁殖成功を高めるための斬新な戦略を進化させた」と指摘する。「宿主の裏をかき、さらに多くのひなが育てられるのを助けることができる」

 カッコウハタオリのひなは多くの場合、仮親のひなよりも早く成長し、より大きな鳴き声で餌をせがむ。侵入者のひなはより多くの餌を与えられるので、仮親のひなは餓死することになる。

 英国と南アフリカの共同研究チームによる今回の調査が行われたザンビアでは、カッコウハタオリの標的になることが最も多い鳥は、アフリカマミハウチワドリ。大きさはカッコウハタオリと同程度だが、よりくすんだ体色をしている。

 スティーブンス氏によると、マミハウチワドリの巣の約5分の1にカッコウハタオリの卵が産み付けられるが、親の中には、侵入者の卵を発見して巣から蹴り出すものもいるという。(c)AFP