【9月17日 AFP】イラン政府は、2020年までの実現を目指す有人宇宙飛行のための予備試験として、1匹のペルシャ猫を宇宙に送り出すことを決めた。国営メディアが16日、伝えた。

 このペルシャ猫は、米国と旧ソ連による宇宙探査黎明(れいめい)期の1960年代にスターとなった犬や猿たちの足跡をたどることになる。

 イラン宇宙機関(Iranian Space AgencyISA)のモハマド・エブラヒミ(Mohammad Ebrahimi)長官が国営イラン通信(IRNA)に明かしたところによると、国産ロケット「カボシュガル3(Kavoshgar 3)」によるペルシャ猫の打ち上げは、来年3月までに実施する見込み。さまざまな動物を試した結果、ペルシャ猫がこのミッションに適しているとの結論に至ったという。

 しかし、この発表について動物愛護団体からは非難の声が上がっている。「動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of AnimalsPETA)」の広報担当ベン・ウィリアムソン(Ben Williamson)氏は「1950年代の原始的な技術へと逆行する時代遅れの実験」と批判。「欧米の宇宙機関が動物を宇宙へ送ることを止めたのは倫理的な理由からだけではなく、人間のモデルとして役不足なことが分かったからだ。もっと科学的で動物を使わない研究方法が今はある」と主張した。

 イランは2011年9月に初めて宇宙に猿を送ろうとしたが、初の試みは失敗に終わった。今年1月には猿を乗せたロケットを大気圏外まで打ち上げ、無事帰還させることに成功したと発表したが、帰還後の記者会見で公開された猿が別の猿だと指摘され、成功が疑問視されている。(c)AFP