リチャード3世の腹部に回虫、英大学が発見
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【9月4日 AFP】(一部修正)英イングランド中部レスター(Leicester)の駐車場から昨年見つかった15世紀のイングランド王、リチャード3世(Richard III)の遺骨を分析した結果、生前に腸内に回虫が寄生していたことが分かった。英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の研究チームが4日の英医学専門誌ランセット(Lancet)で発表した。中世イングランドの劣悪な衛生状態が原因である可能性が高いという。
研究チームによると、遺骨の脊椎下部から回虫の微小な卵が複数見つかった。寄生虫感染は、汚れた手で食べ物に触れることによる糞便汚染や、人間の糞便を農作物の肥料として使うことによって広まるという。
回虫は現代でも感染が多くみられるやっかいな寄生虫で、アフリカや中南米の一部地域で特にまん延している。体内では最大で体長35センチにまで成長することがあり、糞便と一緒に排せつされた卵が口に入ることによって感染が拡大する。深刻な例では、腹膜炎、肝臓の肥大や、脾臓や腸の閉塞を引き起こす。
15世紀のイングランドでは、生肉や完全に火の通っていない肉を食べることによって感染する条虫などの寄生虫がまん延していた。リチャード3世の墓からは、これらの寄生虫が発見されなかったことから、「食べていた食事は常に完全に火が通っていた可能性を示している」と、研究チームは述べている。
英劇作家ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)作の劇では悪人として描かれたリチャード3世。1485年のボズワースの戦い(Battle of Bosworth)で死亡し、レスター近郊に埋葬された。葬儀などの記録は残っていない。(c)AFP