【9月3日 AFP】南アフリカで、かつて地球に存在した超大陸パンゲア(Pangaea)の一部だったゴンドワナ(Gondwana)大陸に生息していた陸上動物の化石としては最も古い、3億5000万年前のサソリの化石が発掘された。同国のウィトウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand)の研究チームが2日、学術誌「African Invertebrate(アフリカの無脊椎動物)」に発表した。

「Gondwanascorpio emzantsiensis」と名付けられたこの新種のサソリは、超大陸が分裂して現在の姿へと変貌を遂げる以前の生命進化を解き明かす非常に重要な手がかりを与えてくれる、とチームは話している。

 超大陸パンゲアの南部を構成していたゴンドワナ大陸は、現在のアフリカ、南米、オーストラリアに当たる。今回化石がみつかったサソリと同年代に生息していた陸上動物はこれまで、パンゲア北部を構成していたローラシア(Laurasia)大陸(現在の北米とアジア)でしか発見されていなかった。

 ウィトウォーターズランド大学進化研究所のロバート・ゲス(Robert Gess)氏は、東ケープ(Eastern Cape)州グラハムズタウン(Grahamstown)近郊で、はさみや針がはっきりと見て取れるサソリの断片化石を発掘した。

 4億1600万ほど前のシルル紀末期までには、サソリやクモなど肉食性の無脊椎動物は、より早い段階に陸地へと進出していた原始的な昆虫などの無脊椎動物を捕食していた。よって、「今回の発見により、デボン紀末期までに、ローラシアと同様にゴンドワナでも、無脊椎動物と植物を含んだ複雑な生態系が陸上に存在していたことが分かった」とゲス氏は説明する。この複雑な生態系は、同年代かその後の時代に出現した脊椎動物の存続に必要不可欠だったという。(c)AFP