【9月3日 AFP】地球に生息する極小カエルのうち、中耳や鼓膜を持たずに口を使って音を聞き取る種が存在することが分かったとの研究論文が2日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された。

 ほとんどのカエルには頭部の外側に鼓膜があり、音波が鼓膜を振動させると、その振動が内耳を通って脳に伝わる。だが、マダガスカルの北のインド洋上に浮かぶ115の群島から成る島しょ国セーシェルの熱帯雨林に生息する体長1センチの極小カエル「ガーディナーズ・フログ(Gardiner's frog)」は、違う仕組みで音を聞き取っていることが分かった。

 仏ポワティエ大学(University of Poitiers)とフランス国立科学研究センター(CNRS)に所属するルノー・ボワステル(Renaud Boistel)氏らの研究チームが高性能のX線画像を撮影した結果、ガーディナーズ・フログの肺や筋肉は音を内耳に伝達する役割を果たしておらず、口が可聴周波数の増幅器としての機能を果たしていることを発見した。このカエルは口腔と骨伝導の組み合わせにより、鼓膜や中耳なしに音を効率的に聞き取ることができるのだという。

 この発見により、カエルやカメなどの生物が音を聞き取る能力をいかにして獲得するようになったかについての、新たな示唆が得られた。「中耳の存在は、陸上生物にとって最も万能な解決策である一方で、音を聞きとるための必須条件ではないことを示している」と、研究チームは述べている。(c)AFP