【8月22日 AFP】欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)のイタリア人宇宙飛行士、ルカ・パルミターノ(Luca Parmitano)氏は21日、先月の船外活動中に宇宙服のヘルメット内に水漏れが生じ、おぼれかけた恐怖体験をブログで振り返った。

 パルミターノ飛行士は国際宇宙ステーション(International Space StationISS)からESAのブログに、7月16日に行った自身2度目の船外活動開始後間もなく発生した、ヘルメット内の水漏れについて投稿した。

 首の後ろに水滴を感じたことについて、「汗にしては冷たすぎると思った。何より、間違いなく量が増えていると感じた」と回想。

 船外活動を切り上げ、ISSのクエスト(エアロック)に戻ろうとする間、ヘルメット内の液体の量は急激に増加。目の前が暗くなり、窒息しそうになったという。

 「次に呼吸をしたら、肺に空気が入るのか、液体が入るのか分からなかった。エアロックまでどう行けばいいのかもわからなかった」

 宇宙服の安全バルブを開放して液体を排出しようかとも考えたが、「宇宙服に穴を開けるのは最後の切り札だ」と思い直したという。

 「一刻も早く戻らなければならなかった。同じ場所で待っていればクリス(同僚の宇宙飛行士)が連れ戻してくれると分かっていたが、どれだけ時間が残っているか分からなかった」

 さらに、交信も徐々にできなくなっていった。ヘッドフォンを液体が覆い、ヒューストンからの指示を聞くのが困難になったのだ。

 ISSに戻ると、カレン・ナイバーグ(Karen Nyberg)飛行士がヘルメットを脱がせてくれたため、おぼれることも、意識を失うこともせずにすんだという。耳と鼻には水が充満していたため、ISSに滞在する飛行士たちの言葉は聞こえなかったという。

 米航空宇宙局(NASA)はこの事故について2件の調査を開始。調査チームはヘルメット内の飲料水バッグではなく、宇宙服の冷却装置の不具合に焦点を絞っているという。調査の結果が出るまで、NASAの船外活動は中断している。(c)AFP/Dario THUBURN