【7月18日 AFP】約1億5000万年前に地球上を闊歩(かっぽ)していた首の長い草食恐竜は、欠けた歯を手っ取り早く治すすべを進化させていた──単にすぐ、新しい歯が生えていたようだ。

 17日の米オンライン科学誌「プロスワン(PLoS ONE)」によると、米ストーニーブルック大学(Stony Brook University)の研究チームが、北米に生息した最も大きな草食恐竜2種、ディプロドクス(Diplodocus)とカマラサウルス(Camarasaurus)の化石を分析したところ、6週間程度で新しい歯が生えていたことが分かった。

 これらの草食恐竜は、人間で乳歯が脱落した後に生えてくる永久歯のような「替え歯」を何組も持っていたという。

 研究チームの1人、同大のマイケル・デミック(Michael D'Emic)氏は「体長30メートル近い竜脚類ならば、1か月か2か月に1度、時にはもっと短い間隔で、新しい歯に生え替わっていただろう。いわば竜脚類の『デンタルケア戦略』は『質より量』で、今日の大型哺乳類とは逆だったといえる」と解説している。

 大昔に絶滅した生物の歯の生え方は、歯のエナメル質の下の層である象牙質の成長線を検証することで分かるという。

 今回の研究によると、カマラサウルスの場合、歯根がはまっている一つ一つの歯槽の中に常に3本もの「乳歯」が控えており、62日間に1度生え変わっていた。またディプロドクスでは、歯槽の中に現在使用中の歯1本と、生え替わり用の歯が最大5本用意され、35日間に1度生え変わっていた。

 これらの草食恐竜は大量の餌を食べたと同時に、樹木や硬い草をいつもかじっていたために歯の摩耗が激しく、早いサイクルで次々に歯が生え替わっていたことは非常に有益だったと研究チームは述べている。(c)AFP