【7月12日 AFP】オーストラリア政府は、宇宙の起源を探求するためのテスト望遠鏡の運用を9日に開始し、世界最大級の電波望遠鏡計画、スクエア・キロメートル・アレイ(Square Kilometre ArraySKA)に向けて大きな1歩を踏み出したと発表した。

 オーストラリアのキム・カー(Kim Carr)技術革新・産業・科学・研究相によると、SKAの建設予定地である内陸部の未開地アウトバック(Outback)で稼働している低周波電波望遠鏡、マーチソン・ワイドフィールド・アレイ(Murchison Widefield ArrayMWA)で9日、南半球からの最初のデータ収集を開始したという。

 同相は「これは、オーストラリアにとって非常に誇らしい瞬間だ。SKAの先駆けとなる最初の望遠鏡のMWAが今、完成して完全に運用可能となった」として、「SKAは宇宙の起源の解明を助けるだけでなく、地球と太陽との相互作用の理解や、破壊的な太陽フレアの早期警告、われわれの銀河や他の銀河の研究などにも役立つ」と話す。

 オーストラリアは昨年、2か国にまたがる建設地という驚くべき決定の中で、ニュージーランドと南アフリカと共同で、SKA計画の契約を請け負った。建設は2016年に開始される見込みで、2020年までに予備運用に入る見込みだ。

 SKAは、辺境地帯に広がって林立するアンテナ群を使用して、光学望遠鏡では検出できない宇宙現象からの電波信号を捕捉する。現在の高度な最新機器の1万倍の観測性能を持ち、超新星、ブラックホール、暗黒エネルギー、約140億年前の宇宙の起源の痕跡などを探査する。

 20か国で構成されるSKAコンソーシャムのフィリップ・ダイヤモンド(Philip Diamond)事務局長は、MWAはそれ自体で重要な電波望遠鏡だとして、「MWAは、ここオーストラリアに建設される予定のSKA低周波アレイの設計と開発において重要な先駆的存在になる」と述べている。

 MWAは、初期宇宙で最初の星や銀河が形成された、いわゆる「宇宙の夜明け」を探査する。さらには、太陽電波バーストなどの「宇宙天気」の観測も行う。128枚の「タイル」群として配列された、2048のダイポールアンテナで構成され、ミーカサラ(Meekatharra)の西約100キロメートルの人工電波が極めて少ない赤砂砂漠の辺境地帯にある。(c)AFP