【7月12日 AFP】暗黒星雲内部で成長している星形成初期段階の大質量星の観測で、これまでで最高の結果が得られたという研究報告が10日、国際天文学誌アストロノミー&アストロフィジックス(Astronomy and Astrophysics)で発表された。この暗黒星雲のコアの質量は太陽の約500倍で、天の川銀河(Milky Way)内で今までに発見された中で最大の星の「子宮」(星形成領域)だという。

 英大学の天文学者らが発表した論文によると、質量は太陽の100倍、明るさは太陽の100万倍にまで成長する可能性があるこの星は、地球上で最も強力な電波望遠鏡であるチリのアルマ(ALMA)電波望遠鏡で発見されたという。

 地球から約1万1000光年の距離にあるこの星の発見は、星間塵(じん)と謎に包まれた例外的な巨大質量星がどのようにして形成されるかという問題の解明につながると天文学者らは期待している。

 論文の共著者の1人、英マンチェスター大学(University of Manchester)のゲーリー・フューラー(Gary Fuller)氏は「こうした星はまれなだけでなく、星の誕生が極めて速やかに進行し、幼年期が短い。そのため、このような進化のごく初期段階にある大質量天体をわれわれの銀河系内で発見したというのは、目を見張るような成果だ」と、欧州南天天文台(European Southern ObservatoryESO)の声明で述べている。

 ESOによると、太陽の10倍以上の質量を持つ大質量星の形成に関しては、次の2通りの理論が存在するという。1つは、母体となる暗黒星雲が分裂して、小さなコアがいくつか生成され、これが崩壊して星が形成されるというもの。もう1つは、暗黒星雲全体が内向きに崩壊し、それに伴って中心に流れ込む物質を取り込んで1個または複数の星がそこで成長するというものだ。

 今回の新しい観測結果は、後者の理論を裏付けていると声明は述べている。(c)AFP