【6月18日 AFP】スペインの首都マドリード(Madrid)でガが大発生している。春の降雨量が多かったことに加え、最近の気温の急上昇が原因とみられる。

 マドリード市民は、明かりに釣られて夜の寝室に入り込んだガを撃退した武勇伝を競い合っている。ガの大発生は新しいジャンルの冗談を生み、マイクロブログサービス、ツイッター(Twitter)でも話題になった。

 ガの大群がどこからやって来たのか、今のところ正確には分かっていないが、北東部バルセロナ(Barcelona)にある進化生物学研究所(Institute of Evolutionary Biology)チョウ類進化多様性研究所(Butterfly Diversity and Evolution Laboratory)の研究者、ロヘル・ビラ(Roger Vila)氏は、撮影された写真から市内で大量発生している中にはキンウワバ亜科やシタバガ亜科などヤガ科の3種が含まれることを特定した。

 AFPの取材に応じたビラ氏は17日、ガの大半はスペイン南部から飛んできたとみられるが、中にはジブラルタル海峡(Strait of Gibraltar)を超えて北アフリカから欧州各地に移動したものもあるとの見方を示した。ガにとって「特別な気象条件」になっていたのだという。

 涼しく雨が多い春だったことでガの幼虫の餌となる植物がよく成長した上、最近になって急に気温が上がったことで、さなぎが一斉に羽化したというのだ。人間の健康に害を及ぼすことはなく、衣服を食い荒らすこともないこれらのガは、卓越風(ある地域で年間を通じて吹くことが最も多い風向きの風)に乗ってマドリードへ飛ばされてきたと考えているビラ氏は、「ガは1週間ほどしか生きないので、恐らく数日で死んでしまうだろう。これからまた大量に押し寄せて来るのかどうか、それだけが問題だ」と語った。(c)AFP