【6月1日 AFP】150年もの間、全鳥類の祖先としてあがめられた後、2年前に「翼のある恐竜の一種」に格下げされた始祖鳥(Archaeopteryx)が、進化系統樹上でその地位を回復した。

 英科学誌ネイチャー(Nature)で29日に発表された研究論文によると、中国で新たに発見された化石によって、始祖鳥はやはり現生鳥類の祖先だったことが証明されたという。

 1861年に独バイエルン(Bavaria)地方で最初の化石が発見されて以来、進化生物学者たちの大半は始祖鳥を「アビアラエ(Avialae)」と呼ばれる原始鳥類グループの基礎に分類してきた。

 チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)の「種の起源」出版からわずか2年足らずで発見された始祖鳥は、長年にわたり、進化の過渡期にある種の代表格とみなされてきた。

 しかし2011年に中国の研究チームが、始祖鳥と同じ特徴を多く持つ「恐竜」の化石を発見したと発表し、これを証拠として始祖鳥は鳥類ではなく、デイノニクス(Deinonychus)と呼ばれる近縁の恐竜に属していたと主張し、定説は覆された。

 しかし29日、同じく中国で研究を行った科学者らが、ジュラ紀に生息していた羽毛のある新種を発見したと発表した。

 ベルギー王立自然科学博物館(Royal Belgian Institute of Natural Sciences)のパスカル・ゴドフロワ(Pascal Godefroit)氏率いるチームは、この新種を「アウロルニス・シュイ(Aurornis xui)」と名付け、この時代に生息していた近縁の恐竜の進化系統樹を再検討した。その結果、「始祖鳥は結局、原始的な鳥だったことを示せた。さらに、われわれが見つけたこの小さな動物は、始祖鳥よりも原始的な鳥だった」(ゴドフロワ氏)という。「今のところ、これ(アウロルニス・シュイ)は人類が知る最古の鳥だ」

 ゴドフロワ氏によると、アウロルニス・シュイは1億5000万年前に生息し、体長50センチメートルほどで、「非常に速く走れただろう」という。また、歯が小さいことから、昆虫を食べていたと推測できるという。(c)AFP