チャバネゴキブリ、進化で「甘いわな」を察知可能に 米研究
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【5月24日 AFP】ゴキブリの中には、駆除用の仕掛けでおとりの餌としてよく使われるブドウ糖(グルコース)の一種を感知して避ける方法を身につけるように進化したものがいるとする研究論文が23日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。
米ノースカロライナ州立大(North Carolina State University)の科学者らは、細長くて茶色い小型のチャバネゴキブリに注目した。チャバネゴキブリは、世界各地の家庭、オフィス、アパートなど、人が食べ物のくずを残すような場所にはどこにでも生息している。
同大学のコービー・シャル(Coby Schal)教授(昆虫学)によると、チャバネゴキブリの中に、甘いおとり餌付きのわなに見向きもしないものがいることは、1990年代初めに最初に観察された。これは、ブドウ糖を使ったゴキブリ駆除商品が発売され、広く利用されるようになって7~8年が過ぎた頃だった。
科学者らによると、チャバネゴキブリは急速に進化し、ブドウ糖に対する嫌悪を遺伝で受け継いだ新しい世代が現れている。そして今、シャル教授は、自身の研究チームがその理由を解明したと述べている。
ブドウ糖を嫌悪するゴキブリは、小さな「味毛(みもう)」を使用して、最初に食物を「味見」するが、ブドウ糖が含まれていると、甘味ではなく苦味を感じるのだという。
「まるで感電したように、ビクッと跳ね返る。誰が見ても明らかな動きだ。(ブドウ糖の)摂取を完全に拒絶している」とシャル教授。「本当に苦いものや本当に酸っぱいものを口に入れたら、すぐに吐き出したくなるのと似ている」
この進化は「信じられないほど速やかに」起きたと同教授は述べたが、バクテリアの抗生物質に対する耐性の発達は、これよりさらに速く進行するとも指摘している。
ブドウ糖を嫌悪するようになったゴキブリの割合を知るのは難しい。シャル教授らの今回の研究では、米国、ロシア、プエルトリコ、韓国の生息地から、多様なゴキブリのサンプルを採取した。結果、19の個体群のうち7つにブドウ糖に嫌悪反応を示すゴキブリが含まれることを発見した。同教授は「これは世界規模の現象であり、米国に限定したものではない」と述べている。
シャル教授らは、これらの新たに進化したゴキブリが生存・繁殖のためにブドウ糖を避けていることを示すため、ゴキブリが果糖(フルクトース)ベースのゼリーを選んで群がり、すぐ隣のブドウ糖を含むゼリーには見向きもしない様子や、ブドウ糖を含むジャムを完全に避けてピーナッツバターに群がる様子などを映像に記録した。
同教授は「われわれは、ゴキブリが持つ驚異的な学習能力を明らかにしている。彼らは、ブドウ糖を味わうことで受ける罰を、おとり餌の匂いに関連付けることができる」として、農薬業界がおとり餌からブドウ糖をさらに広く除外するための措置を講じるよう望んでいると述べた。
チャバネゴキブリは、約5000種にも及ぶゴキブリの中の1種にすぎず、家庭害虫であるこの種をまとめて駆除するのは悪いことではないだろう、と同教授は言う。
同教授は「われわれが知る限りでは、チャバネゴキブリは家庭内の害虫で、人間に付随して病気などの感染源となる可能性がある以外には、生態系に対して何の役割も持っていない」とAFPに語った。「低所得層の住宅では、これは本当に深刻な問題。ゴキブリはアレルギー性疾患やぜんそくなどに関連する大きな問題を引き起こす恐れがあるので、ゴキブリの抑制や駆除は極めて重要だ」
同教授によると、世界に生息する他の種類のゴキブリには、熱帯雨林の植物を受粉させるものや、砂漠のサソリやトガリネズミにとっての重要な食物群の役割を担うものなど、極めて有益なゴキブリもいるという。(c)AFP/Kerry Sheridan
米ノースカロライナ州立大(North Carolina State University)の科学者らは、細長くて茶色い小型のチャバネゴキブリに注目した。チャバネゴキブリは、世界各地の家庭、オフィス、アパートなど、人が食べ物のくずを残すような場所にはどこにでも生息している。
同大学のコービー・シャル(Coby Schal)教授(昆虫学)によると、チャバネゴキブリの中に、甘いおとり餌付きのわなに見向きもしないものがいることは、1990年代初めに最初に観察された。これは、ブドウ糖を使ったゴキブリ駆除商品が発売され、広く利用されるようになって7~8年が過ぎた頃だった。
科学者らによると、チャバネゴキブリは急速に進化し、ブドウ糖に対する嫌悪を遺伝で受け継いだ新しい世代が現れている。そして今、シャル教授は、自身の研究チームがその理由を解明したと述べている。
ブドウ糖を嫌悪するゴキブリは、小さな「味毛(みもう)」を使用して、最初に食物を「味見」するが、ブドウ糖が含まれていると、甘味ではなく苦味を感じるのだという。
「まるで感電したように、ビクッと跳ね返る。誰が見ても明らかな動きだ。(ブドウ糖の)摂取を完全に拒絶している」とシャル教授。「本当に苦いものや本当に酸っぱいものを口に入れたら、すぐに吐き出したくなるのと似ている」
この進化は「信じられないほど速やかに」起きたと同教授は述べたが、バクテリアの抗生物質に対する耐性の発達は、これよりさらに速く進行するとも指摘している。
ブドウ糖を嫌悪するようになったゴキブリの割合を知るのは難しい。シャル教授らの今回の研究では、米国、ロシア、プエルトリコ、韓国の生息地から、多様なゴキブリのサンプルを採取した。結果、19の個体群のうち7つにブドウ糖に嫌悪反応を示すゴキブリが含まれることを発見した。同教授は「これは世界規模の現象であり、米国に限定したものではない」と述べている。
シャル教授らは、これらの新たに進化したゴキブリが生存・繁殖のためにブドウ糖を避けていることを示すため、ゴキブリが果糖(フルクトース)ベースのゼリーを選んで群がり、すぐ隣のブドウ糖を含むゼリーには見向きもしない様子や、ブドウ糖を含むジャムを完全に避けてピーナッツバターに群がる様子などを映像に記録した。
同教授は「われわれは、ゴキブリが持つ驚異的な学習能力を明らかにしている。彼らは、ブドウ糖を味わうことで受ける罰を、おとり餌の匂いに関連付けることができる」として、農薬業界がおとり餌からブドウ糖をさらに広く除外するための措置を講じるよう望んでいると述べた。
チャバネゴキブリは、約5000種にも及ぶゴキブリの中の1種にすぎず、家庭害虫であるこの種をまとめて駆除するのは悪いことではないだろう、と同教授は言う。
同教授は「われわれが知る限りでは、チャバネゴキブリは家庭内の害虫で、人間に付随して病気などの感染源となる可能性がある以外には、生態系に対して何の役割も持っていない」とAFPに語った。「低所得層の住宅では、これは本当に深刻な問題。ゴキブリはアレルギー性疾患やぜんそくなどに関連する大きな問題を引き起こす恐れがあるので、ゴキブリの抑制や駆除は極めて重要だ」
同教授によると、世界に生息する他の種類のゴキブリには、熱帯雨林の植物を受粉させるものや、砂漠のサソリやトガリネズミにとっての重要な食物群の役割を担うものなど、極めて有益なゴキブリもいるという。(c)AFP/Kerry Sheridan