【5月9日 AFP】宇宙飛行士を火星に安全に着陸させることは、今後の火星への有人探査ミッションにおける最大の技術的課題であり、昨年の火星探査車の大胆な着陸よりずっと複雑だ。

 昨年8月の高速探査車キュリオシティー(Curiosity)の火星着陸で米航空宇宙局(NASA)はスカイクレーンや超音速パラシュートを使って観察者たちを驚嘆させたが、専門家は有人の火星着陸はさらに困難な仕事になるだろうとしている。

 米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)で6日から3日間の日程で行われた宇宙開発会議には、NASAの専門家、大学の研究者、宇宙産業関係者らが参加した。米ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)の元NASA技術者ロバート・ブラウン(Robert Braun)氏は同会議2日目の7日、「キュリオシティー着陸は驚くべき達成だった」と述べた一方で、「だが実際は、火星表面を歩行する日までの道程からすれば、ささやかな第一歩に過ぎない」 と指摘。また、9か月間火星探査を続けているキュリオシティーは小型車と前置きし、「今話題にしているのは2階建ての家の着陸だ。しかも既に建てられているもう一軒の隣にだ」と難しさを強調した。

 キュリオシティーは重量1トンだが、有人の着陸準備には約40トンの補給カプセルが必要と試算されている。有人のミッションには宇宙飛行士の食料や水、酸素だけでなく、軌道に留まるであろう宇宙船に戻るための強力な輸送手段が必要になる。(c)AFP/Jean-Louis Santini