「宇宙ごみ」の掃除は急務、国際会議で科学者らが訴え
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【4月26日 AFP】地球周回軌道上を漂う宇宙ごみは、今後数十年で人工衛星に壊滅的な被害をもたらす問題に発展する恐れがあり、各国政府は除去作業に至急着手する必要があると訴える声明文が、ドイツ・ダルムシュタット(Darmstadt)で開かれた宇宙科学会議で25日、発表された。
欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)の宇宙ごみ部門を率いるハイナー・クリンクラッド(Heiner Klinkrad)氏によると、1978年以降、地球の周りを飛び交うごみの総量は3倍に増えているという。
「宇宙ごみの撤去活動を今すぐ始める必要があるという事実は、幅広い専門家の間で強い合意が得られている」。独ダルムシュタットで4日間にわたり開催された会議の閉幕に際し発表されたESAのプレスリリースで、同氏はこう述べている。「拡大しつつある宇宙ごみ問題に対するわれわれの理解は、地球の気候変動に対処する必要性に対する20年ほど前の理解に重ね合わせて見ることができる」
ESAと米航空宇宙局(NASA)の集計によると、軌道上に存在する直径10センチ超の宇宙ごみは2万3000個以上で、直径1~10センチのものだと数十万個に上るという。
これらのごみは比較的小さく、軌道上の空間を占める割合も小さいが、運動エネルギーが高い状態にあるため、衝突によって深刻な被害が生じる恐れがある。宇宙ごみが進む速度は平均で時速2万5000キロにも達し、質量が小さい物体でも人工衛星の機能を停止させたり、国際宇宙ステーション(International Space Station、ISS)に穴を開けたりする可能性がある。
宇宙ごみは、55年に及ぶ宇宙開発の結果として発生した。主な発生源は、多段式ロケットから切り離された機体、打ち上げに失敗した機体や、破棄されたり老朽化したりした衛星などだ。これらの大きな物体はいずれ互いに衝突し、それにより生まれたさらに多くのごみが、また次々と衝突を繰り返す。この危険な連鎖サイクルは「ケスラー・シンドローム(Kessler Syndrome)」として知られている。
2007年には、中国が古い気象衛星を標的とした衛星攻撃兵器の実験で大量の宇宙ごみを発生させ、国際的な非難が巻き起こった。現在のペースでロケットの打ち上げが行われると、将来的に宇宙ごみの衝突のリスクが25倍に増大する恐れがある。
今回の会議には、国立宇宙機関や宇宙産業の専門家など350人が欧州、北米、アジアから集結した。
会議では、年に5~10個の割合で最大規模の宇宙ごみの塊を軌道から除去することを目的とした、さまざまな提案がなされた。宇宙ごみは、ロボット宇宙船から網をかけたり銛(もり)を打ち込んだりして、大気圏に突入させ燃え尽きさせたり、イオン砲を当てて進路をそらしたりすることが可能だという。また、大きな宇宙ごみに「ソーラーセイル(太陽帆)」を取り付けて、太陽から吹き出る粒子「太陽風」を受けて静かに飛び去るようにする案も出された。(c)AFP
欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)の宇宙ごみ部門を率いるハイナー・クリンクラッド(Heiner Klinkrad)氏によると、1978年以降、地球の周りを飛び交うごみの総量は3倍に増えているという。
「宇宙ごみの撤去活動を今すぐ始める必要があるという事実は、幅広い専門家の間で強い合意が得られている」。独ダルムシュタットで4日間にわたり開催された会議の閉幕に際し発表されたESAのプレスリリースで、同氏はこう述べている。「拡大しつつある宇宙ごみ問題に対するわれわれの理解は、地球の気候変動に対処する必要性に対する20年ほど前の理解に重ね合わせて見ることができる」
ESAと米航空宇宙局(NASA)の集計によると、軌道上に存在する直径10センチ超の宇宙ごみは2万3000個以上で、直径1~10センチのものだと数十万個に上るという。
これらのごみは比較的小さく、軌道上の空間を占める割合も小さいが、運動エネルギーが高い状態にあるため、衝突によって深刻な被害が生じる恐れがある。宇宙ごみが進む速度は平均で時速2万5000キロにも達し、質量が小さい物体でも人工衛星の機能を停止させたり、国際宇宙ステーション(International Space Station、ISS)に穴を開けたりする可能性がある。
宇宙ごみは、55年に及ぶ宇宙開発の結果として発生した。主な発生源は、多段式ロケットから切り離された機体、打ち上げに失敗した機体や、破棄されたり老朽化したりした衛星などだ。これらの大きな物体はいずれ互いに衝突し、それにより生まれたさらに多くのごみが、また次々と衝突を繰り返す。この危険な連鎖サイクルは「ケスラー・シンドローム(Kessler Syndrome)」として知られている。
2007年には、中国が古い気象衛星を標的とした衛星攻撃兵器の実験で大量の宇宙ごみを発生させ、国際的な非難が巻き起こった。現在のペースでロケットの打ち上げが行われると、将来的に宇宙ごみの衝突のリスクが25倍に増大する恐れがある。
今回の会議には、国立宇宙機関や宇宙産業の専門家など350人が欧州、北米、アジアから集結した。
会議では、年に5~10個の割合で最大規模の宇宙ごみの塊を軌道から除去することを目的とした、さまざまな提案がなされた。宇宙ごみは、ロボット宇宙船から網をかけたり銛(もり)を打ち込んだりして、大気圏に突入させ燃え尽きさせたり、イオン砲を当てて進路をそらしたりすることが可能だという。また、大きな宇宙ごみに「ソーラーセイル(太陽帆)」を取り付けて、太陽から吹き出る粒子「太陽風」を受けて静かに飛び去るようにする案も出された。(c)AFP