【4月1日 AFP】風力・太陽光発電で生成された余剰エネルギーを貯蔵して再利用できるようにする革新的な方法を開発したとするカナダの研究者らの論文が、米科学誌「サイエンス(Science)」に掲載された。

 カナダ・カルガリー大学(University of Calgary)化学科のカーティス・バーリンゲット(Curtis Berlinguette)准教授とサイモン・トゥルーデル(Simon Trudel)助教の報告によると、水の電気分解からエネルギーを得るための触媒として「さび」を使用するという比較的安価な方法を考案したという。

 バーリンゲット准教授は「この画期的な発明により、風力タービンや太陽電池パネルで生成した電力を貯蔵・再利用する比較的安価な方法を提供できる」「われわれの研究は、大規模なクリーンエネルギー経済の実現に向けた大きな1歩になる」と話す。

 トゥルーデル助教によると、この発見は「触媒物質の製造方法に関する全く新しい分野を切り開くもので、今後の幅広い活用が期待される」という。

 電解槽では、触媒を使用して水を水素と酸素に分解する化学反応を発生させ、電力をエネルギーに変換する。このエネルギーは貯蔵しておき、必要なときにいつでも電力に再変換して利用できる。

 通常、触媒は結晶構造を持つ高価で希少な金属を原料としている。だが准教授らはこの原則から外れて、さびなどのありふれた金属化合物や酸化物を使用して、同じ結果を得ることに成功した。

 准教授らは、この電解槽で使用する電解触媒を商品化するための企業を立ち上げた。2014年までの商品化を目指しており、家庭のエネルギー需要を賄うように設計された電解槽の試作品を2015年までにテスト段階に入れるようにする意向だ。(c)AFP