三畳紀末の大量絶滅、最新技術で時期を詳細に特定 「誤差2万年」
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【3月22日 AFP】約2億年前に起きた生物の大量絶滅の原因とされる、大規模な火山噴火の発生時期を、最新の年代測定技術を使ってこれまでで最も詳細に特定することに成功したとする研究論文が21日、米科学誌サイエンス(Science)で発表された。
「三畳紀末の大量絶滅(End-Triassic Extinction)」と呼ばれるこの出来事は、地球で起きた4度目の大量絶滅で、一連の火山噴火が原因とされる。当時すでに暑かった地球の温度は、これらの噴火活動によりさらに上昇し、地球上の全生物種の半数が絶滅したことが、その後の恐竜時代への道を開いたという。
研究チームは新しい分析方法を用い、この大量絶滅の発生時期を2億156万4000年前と特定。これまでの方法では、最大300万年の誤差があったが、今回の計測方法では誤差を最大2万年までと、地質学的には「一瞬」ともいえる短期間にまで縮めることができたという。
研究を行った科学者らは、カナダ・ノバスコシア(Nova Scotia)州、モロッコ、そして米ニューヨーク(New York)市郊外から岩石の試料を採取し、火山の噴火で生まれる玄武岩に含まれるウラン同位体の崩壊度を分析した。これらの試料は全て、かつては一続きだった「中央大西洋マグマ分布域(Central Atlantic Magmatic Province)」と呼ばれる陸塊に属する。
分析結果によると、モロッコでの噴火は最も早く、その約3000年後にはノバスコシア州で、1万3000年後には米ニュージャージー(New Jersey)州で噴火が起きたとみられている。この時代の地層の下の堆積物からは、三畳紀(Triassic era)の生物の化石が発見されているが、その上からは見つからなかった。
論文の主執筆者、テレンス・ブラックバーン(Terrence Blackburn)氏は、三畳紀末の大量絶滅と現在の気候変動とは、いくつかの類似点があると指摘する。「同じような時間的尺度で起こった可能性がある。こうした地質記録の研究によって、大気中の二酸化炭素が2倍に増えると地球の温度や海洋の酸性化、地球上の生物にどのような影響を及ぼし得るかについての多くの示唆が得られる」という。
論文執筆時には米マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology、MIT)の客員講師だった同氏は、現在は米カーネギー研究所(Carnegie Institution for Science)の特別研究員を務めている。(c)AFP