【3月18日 AFP】デンマークの科学者率いる国際研究チームは17日、地球上で最も深い海溝とされる太平洋西部のマリアナ海溝(Mariana Trench)の海底に生息する単細胞生物の一群を発見したと発表した。

 微生物の予想外に大規模で活動的なコミュニティーは、西太平洋の米領グアム島(Guam)の約320キロメートル南西に位置する海溝約11キロメートルの深さに存在する。

 南デンマーク大学(University of Southern Denmark)北欧地球進化センター(Nordic Centre for Earth Evolution)のロニー・グルド(Ronnie Glud)氏率いる国際研究チームは、海底の酸素消費量を調査する極薄センサーを搭載した特別設計の水中ロボットを使用した2010年の探査で、付近の水深6キロメートルの場所の10倍に近い数のバクテリアがこの海溝に生息していることを確認した。こうしたバクテリアは、海洋生物、海藻、他の微生物などの死骸が海底に堆積した有機性廃棄物を食べて生きているという。

 科学者の多くは、水深が深くなればなるほど、食物が乏しくなると考えてきた。食物は、酸素を豊富に含む海面から海の底まで長い道のりを漂ってくる必要があるからだ。ところが研究チームは、実際にはマリアナ海溝に有機物が豊富に存在することを発見した。

 研究チームは、「今回の調査結果によると、海面の約1100倍に相当する超高圧の環境下でも、海溝の堆積物の中に極めて活動的なバクテリアのコミュニティーが存在することが明らかになった」と声明で述べている。微生物の多くが極限状態での生活に特別に適応した生物で、気温と気圧の変化によって死んでしまうため、サンプルを実験室に移して研究することは不可能だ。

 研究チームは海溝の底を映像に収めているが、これほどの水深の場所には大型の生物はほとんど見られなかった。「むしろ、われわれが発見したのは、大半の高等生物にとって生存不可能な条件の下で効率的に機能するように適応した微生物が支配する世界だ」とグルド氏は述べた。(c)AFP