【3月7日 AFP】高齢者や身体障害者の足の動きをサポートする日本の生活支援ロボットが先月、国際安全規格の認証を取得し、世界展開の基盤を固めた。

 認証を取得したのは、茨城県つくば市のロボットベンチャー企業サイバーダイン(Cyberdyne)が開発した下肢装着用の「ロボットスーツHAL福祉用」。同社は腕に装着するロボットアームの開発経験も持つ。

 経済産業省の発表によると、HALの認証取得は、生活支援ロボットの国際安全規格のドラフト版に基づいており、ドラフト版は年内に国際規格として発行される見通し。生活支援ロボットの国際認証取得は世界初という。

 電池で作動するHALは、筋肉に伝わった神経信号を読み取ってユーザーの動作を予想し、支援する。高齢者の動きを補助したり、患者の身体を持ち上げる看護師や介護士をサポートするように設計されている。サイバーダインは2010年以来、医療機関や福祉施設など150か所に約330台をリースしてきた。1台当たりの月間リース料は17万8000円。

 サイバーダインCEOで筑波大学教授の山海嘉之(Yoshiyuki Sankai)氏は、日本が世界に先駆けて認証を取得したことへは非常に意義があるとした上で、ロボット大国の日本が未来のロボットについてメッセージを送る第一歩だとコメントした。

 HALについては、東京電力福島第1原発事故の廃炉作業現場で、放射性物質から身を守る重い防護服を着用した状態で作業する必要性を踏まえた改良版も開発されている。

 日本では長年産業ロボットが使用されているが、医療機関や高齢者施設ではロボットスーツの導入が次第に進んでいる。ただ、高齢化が急速に進み寿命の伸びが予想されている日本で、こうしたロボットに関する政府の安全基準策定は遅れていると批判されている。(c)AFP