ムラサキイガイに学んだ合成接着物質、医療に応用 米研究
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【2月19日 AFP】一般的に「ムール貝」として知られるムラサキイガイが荒波に流されないのは、強力な粘着物質で岩に付着しているためだ。この粘着物質を人工的に作り出すことに米国の研究チームが成功し、米ボストン(Boston)で16日に開かれた米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science、AAAS)の年次会合で発表した。外科手術やがん治療に応用できるという。
チームが開発したのはムラサキイガイの接着タンパク質を人工的に模した粘着物質で、傷ついた胎膜を接合する際のシーラント材や抗菌ヒドロゲル、抗がん剤を患部に運ぶためのポリマー(高分子化合物)に応用できるという。
AAAS年次会合で報告した米ワシントン大学(University of Washington)のエミリー・キャリントン(Emily Carrington)教授(生物学)は「流速が毎秒1メートルの内陸河川ですと、流れの中に立っているのも難しいです。その10倍の速さの流れに全身が漬かっていると想像してみてください」と述べた。キャリントン教授は、流速が毎秒10メートルの水は秒速268メートルの風に相当すると説明した。
水中の岩や草などに付着しているムラサキイガイは、まさにそんな環境にいる。カリフォルニア大学(University of California)のハーバート・ウェイト(Herbert Waite)氏(分子生物学)によると、岩に付着しているムラサキイガイは大人1人の体重を支えることができるという。
ムラサキイガイが出す「接着剤」は足糸(そくし)という糸状の分泌物で、表面が乾いているか濡れているか、あるいは材質が有機化合物であるか無機化合物であるかかにかかわらず、ほぼあらゆるものに付着できる。
この接着力を合成物質で再現することに取り組んできたノースウエスタン大学(Northwestern University)のフィリップ・メッサースミス(Phillip Messersmith)教授(生体医用工学)らの研究チームは、耐水性があり身体内部の傷を閉じるのに用いることができる合成接着剤を開発した。
メッサースミス教授によれば、水分があるため修復しようとしても望ましい結果を得るのが難しかった胎膜などの人体組織にこの合成接着剤を使用できる可能性があるという。(c)AFP/Jean-Louis Santini
チームが開発したのはムラサキイガイの接着タンパク質を人工的に模した粘着物質で、傷ついた胎膜を接合する際のシーラント材や抗菌ヒドロゲル、抗がん剤を患部に運ぶためのポリマー(高分子化合物)に応用できるという。
AAAS年次会合で報告した米ワシントン大学(University of Washington)のエミリー・キャリントン(Emily Carrington)教授(生物学)は「流速が毎秒1メートルの内陸河川ですと、流れの中に立っているのも難しいです。その10倍の速さの流れに全身が漬かっていると想像してみてください」と述べた。キャリントン教授は、流速が毎秒10メートルの水は秒速268メートルの風に相当すると説明した。
水中の岩や草などに付着しているムラサキイガイは、まさにそんな環境にいる。カリフォルニア大学(University of California)のハーバート・ウェイト(Herbert Waite)氏(分子生物学)によると、岩に付着しているムラサキイガイは大人1人の体重を支えることができるという。
ムラサキイガイが出す「接着剤」は足糸(そくし)という糸状の分泌物で、表面が乾いているか濡れているか、あるいは材質が有機化合物であるか無機化合物であるかかにかかわらず、ほぼあらゆるものに付着できる。
この接着力を合成物質で再現することに取り組んできたノースウエスタン大学(Northwestern University)のフィリップ・メッサースミス(Phillip Messersmith)教授(生体医用工学)らの研究チームは、耐水性があり身体内部の傷を閉じるのに用いることができる合成接着剤を開発した。
メッサースミス教授によれば、水分があるため修復しようとしても望ましい結果を得るのが難しかった胎膜などの人体組織にこの合成接着剤を使用できる可能性があるという。(c)AFP/Jean-Louis Santini