【2月14日 AFP】交尾の後に雄性生殖器を自ら切り落とし、新たに成長させるというウミウシの奇妙な性生活についての報告が、13日の英国王立協会(British Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に掲載された。

 発表した日本の研究チームは、「このような『使い捨て生殖器』を使って繰り返し交尾する生物は他に知られていない」と指摘し、この行動を「極めて奇妙」と表現した。

 学名「クロモドーリス・レティクラータ(Chromodoris reticulata)」のこのウミウシは、東南アジアの暖かい海に生息している。人間の親指ほどのサイズで雌雄同体、交尾の際には雄と雌の両方の役割を担い、相手に精子を与える一方で、相手からも精子を受け取り、のちの受精のために蓄えておく。

 研究チームによると、このウミウシは24時間で、外側に突出した使用済み生殖器を切断し、巻かれた状態で体内に圧縮された幼い生殖器を外側に出すことができる。また、この行為を少なくとも3回は行うことができるという。

 また、生殖器には細かい逆トゲがあることもわかった。交尾の相手の体内に蓄えられている他個体の精子をかき出すのに使われているとみられる。

 尾を切り離すヤモリのように、さまざまな生物が、自らの体の一部を切り離すことが知られている。だが生殖器を切り離す動物は極めて少ないと研究チームは指摘している。(c)AFP