【2月11日 AFP】1916年に英国の探検家アーネスト・シャクルトン(Ernest Shackleton)が奇跡の生還を果たした南極探検の再現に挑戦していた英豪の遠征隊は、サウスジョージア島(South Georgia)の山脈を猛吹雪のなか3日かかって越え、11日未明にストロムネス(Stromness)の古い捕鯨基地に到達した。

 探検隊のティム・ジャービス(Tim Jarvis)隊長(46)とバリー・グレー(Barry Gray)氏(38)は、シャクルトン隊が当時着用していたのと同じ衣類や装備だけを使い、900メートルの山越えを果たした。

「実に壮大な旅路だった。大きな困難を乗り越えて基地にたどり着いたよ」とジャービス氏は語った。「シャクルトンの話していたことは誇張じゃなかった。氷った斜面は角度が50度もあって、一歩踏み間違えればクレバスを真っ逆さまだっただろう」

 2人は当初24時間で山を越える計画だったが、悪天候のため立ち往生。ジャービス氏によれば、2人で合わせて20回以上はクレバスに膝まではまった。グレー氏は一度は脇の下までクレバスに落ち、支援隊員が引っ張りださなければならなかったという。

「現代の男たちは鉄船で旅をするが、あの頃の探検家たちは、木船に乗った鉄人だった。彼らの達成を少しでも再現できたことを願うよ」とジャービス氏。「シャクルトンの精神は誰の中にもあることは間違いない。われわれの旅によって、その精神に気づく人々がいればうれしいね」

 山越えに先立ち探検隊は、シャクルトンの伝説の航海を再現し、南極半島沖のエレファント島(Elephant Island)からサウスジョージア島までの800カイリ(約1480キロメートル)を小型の救命ボートで12日間かけて航海している。(c)AFP