ES細胞含むインクで立体物の「印刷」に成功、臓器作製に一歩前進
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【2月6日 AFP】ヒトES細胞(胚性幹細胞)を使って立体物を「印刷」することに成功したとする論文が、4日の英国物理学会(Institute of Physics、IOP)の学会誌「バイオファブリケーション(Biofabrication)」に掲載された。移植用臓器の「作製」という目標へ、一歩近づいたことになる。
論文によれば、この技術が完成すれば、実験室でヒト細胞組織を作ることが可能になり、いずれは臓器提供や動物実験の必要がなくなるはずという。
これまで、インクジェット技術を用いた3Dプリンターによる印刷では、成体幹細胞などいくつかの種類の細胞の印刷に成功している。だが、成体幹細胞より万能なヒトES細胞については、3Dプリンターで使うにはもろすぎることが分かっていた。
研究に参加した幹細胞関連企業ロスリン・セルラブ(Roslin Cellab)のジェイソン・キング(Jason King)氏は、今回の研究成果が長期的には動物を使わない、より信頼できる薬の安全性検査や、移植用臓器のオンデマンド提供などに計り知れない価値をもたらすと確信していると語った。
実験では、実験室で培養したヒトES細胞含む液体「バイオインク」を使い、特別に設計された「バルブ式」プリンターで印刷した。論文の共同執筆者、英ヘリオット・ワット大学(Heriot-Watt University)のウィル・シュー(Will Shu)氏は、AFPの取材に「数百万の細胞を数分間で印刷できた」と語った。
細胞は培養皿に印刷され、集まって、研究チームが「スフェロイド(回転楕円形)」と呼ぶ小さな球状のものを形成するまで放置される。1個のスフェロイドは1ミリメートル以下のサイズという。
今回の実験は、特定の立体物を作製することが目標ではなく、もろいヒトES細胞に損傷を与えずに3Dプリントが可能な「手法」を実証することが目的だった。
この方法では理論上、どのような形でも印刷することが可能だが、血管網を必要とする「ヒトの臓器」はまだ再現することができない。また、ES細胞が特定の細胞組織に分化するよう導く技術の微調整も、依然として大きなハードルだ。
シュー氏は短期的な目標として、最も単純な生物学的構造を持つ臓器の1つである肝臓の組織を「3Dプリント」することを目指していると語った。(c)AFP
論文によれば、この技術が完成すれば、実験室でヒト細胞組織を作ることが可能になり、いずれは臓器提供や動物実験の必要がなくなるはずという。
これまで、インクジェット技術を用いた3Dプリンターによる印刷では、成体幹細胞などいくつかの種類の細胞の印刷に成功している。だが、成体幹細胞より万能なヒトES細胞については、3Dプリンターで使うにはもろすぎることが分かっていた。
研究に参加した幹細胞関連企業ロスリン・セルラブ(Roslin Cellab)のジェイソン・キング(Jason King)氏は、今回の研究成果が長期的には動物を使わない、より信頼できる薬の安全性検査や、移植用臓器のオンデマンド提供などに計り知れない価値をもたらすと確信していると語った。
実験では、実験室で培養したヒトES細胞含む液体「バイオインク」を使い、特別に設計された「バルブ式」プリンターで印刷した。論文の共同執筆者、英ヘリオット・ワット大学(Heriot-Watt University)のウィル・シュー(Will Shu)氏は、AFPの取材に「数百万の細胞を数分間で印刷できた」と語った。
細胞は培養皿に印刷され、集まって、研究チームが「スフェロイド(回転楕円形)」と呼ぶ小さな球状のものを形成するまで放置される。1個のスフェロイドは1ミリメートル以下のサイズという。
今回の実験は、特定の立体物を作製することが目標ではなく、もろいヒトES細胞に損傷を与えずに3Dプリントが可能な「手法」を実証することが目的だった。
この方法では理論上、どのような形でも印刷することが可能だが、血管網を必要とする「ヒトの臓器」はまだ再現することができない。また、ES細胞が特定の細胞組織に分化するよう導く技術の微調整も、依然として大きなハードルだ。
シュー氏は短期的な目標として、最も単純な生物学的構造を持つ臓器の1つである肝臓の組織を「3Dプリント」することを目指していると語った。(c)AFP