「テロの死傷者減らす客車」開発、英研究チーム
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【1月24日 AFP】英ニューカッスル大学(Newcastle University)の研究チームは23日、鉄道でのテロ攻撃を想定した安全対策を施した客車を開発したと発表した。プラスチックでコーティングされた窓や、爆発による破片の飛散を防ぐ仕組みを備え、テロ発生時の死傷者を減らすことができるという。
同大学ニューレール(NewRail)研究所の研究チームは欧州連合(EU)による資金提供を受け、「セキュアメトロ(SecureMetro)」と名付けられたプロジェクトを3年間にわたり実施した。
プロジェクトチームは、2005年7月7日にロンドン(London)の地下鉄で起きた爆弾テロで損傷した客車を分析したほか、使用されなくなった客車を使った爆破実験を行い、爆発の衝撃を封じ込め破片の飛散を低減する方法を研究。チームによると、爆発時に飛び散る破片は死傷者を生む主な原因とされており、現場に駆け付けた救急隊員の活動の妨げともなる。
さらに、天井パネルをワイヤーで固定し、窓ガラスをプラスチックでコーティングしたほか、車体にはより軽く衝撃エネルギーを吸収する素材を使った試作車両を作成し、爆破実験を行った。実験では爆発が内部構造に与える衝撃の度合いを調べるため、高速度カメラを用いて爆発をスローモーションで観察し、衝撃波が客車をどのように伝わっていくかを分析した。
実験の結果、天井パネルをワイヤーで固定することにより、爆弾の破片の飛散による負傷を防ぐと同時に、通路に飛び散る破片を減らすこともできることが分かった。また、窓ガラスをプラスチックでコーティングすることによって、ガラスの破片が車両の外に吹き飛ばされプラットホームに立つ人などが負傷するのを防ぐことができるという。
プロジェクトリーダーのコナー・オニール(Conor O'Neill)氏は、「これらは全て、既存の車両に取り付けることができる低コストかつシンプルな設備であり、人命を救うだけでなくテロ攻撃の標的となる可能性を減らすことができる」と述べている。(c)AFP