【12月17日 AFP】スウェーデン北部のキルナ(Kiruna)は北極圏にある小さな町だが、驚くべきことに国際空港があり、東京(Tokyo)行きの定期便も就航している。このキルナが今、商業宇宙飛行の基地に名乗りを上げている。

 2007年設立の企業「スペースポート・スウェーデン(Spaceport Sweden)」は、今後10年以内にキルナ空港を拠点とした宇宙旅行の実現を目指している。カリン・ニルズドッター(Karin Nilsdotter)同社社長はスウェーデン宇宙物理学研究所(Swedish Institute of Space PhysicsIRF)内にあるオフィスで、「観光・研究目的のスウェーデン発宇宙行きの商業便を就航させるべく取り組んでいる。(キルナ)空港内に発射台を作る予定だ」と説明した。

 計画では、未来型宇宙船で最長2時間の準軌道飛行(弾道飛行)を行う。乗客は地球の100キロメートル上空で5分間の無重力状態を体験できる。現在試験中の宇宙船は飛行機とスペースシャトルの中間のような形状で、定員6人。宇宙船は独自に開発はせず、別企業と提携する方針というが、詳細は公表していない。

 ニルズドッター社長によれば、スウェーデン最北端に位置するキルナは宇宙飛行基地には最適な場所だ。宇宙船の発着が他の航空機の離着陸に制限される可能性は低く、地域人口も少ない。国境からも適度な距離があり、飛行許可をめぐって隣国と調整する必要もない。

 それだけでなく、キルナには60年に及ぶ宇宙研究の経験と実績がある。1957年設立のIRFに加え、宇宙研究やロケット打ち上げの拠点となっているエスレンジ(Esrange)は1966年から運用されているのだ。

「われわれなら、こうした知識を活用して他に類のない、世界に誇れる宇宙旅行を提供できる」とニルズドッター社長は自信を見せている。(c)AFP/Camille Bas-Wohlert