【12月7日 AFP】2012年のノーベル医学生理学賞の受賞者選考をめぐり、米ロサンゼルス(Los Angeles)を拠点とする科学者の徐栄祥(Rongxiang Xu)氏が今週、名誉毀損と不当競争でスウェーデンのカロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)のノーベル会議(Nobel Assembly)をカリフォルニア(California)州オレンジ郡(Orange County)の裁判所に提訴したことが6日、明らかになった。ノーベル会議を相手取った訴訟は初めてという。  

 2012年のノーベル医学生理学賞は、成熟した細胞を多能性細胞に再プログラムできることを発見した業績が評価され、京都大学(Kyoto University)の山中伸弥(Shinya Yamanaka)教授と英国のジョン・B・ガードン(John B. Gurdon)氏が共同受賞する。ノーベル会議は選考理由について「彼らの発見は、細胞や有機体がどのように成長するかについてのわれわれの理解を大きく変えた」「病気の研究、診断・治療の手法の発展に新たな機会を生み出した」と説明している。  

 これに対し、「人体再生回復科学」の創始者を自称する徐氏は、山中、ガードン両氏の功績とされる主要な発見は両氏より10年も前に自分が成し遂げていたと主張している。1984年、やけどの治療法を研究していた過程で「再生細胞」を発見し、この治療法で73か国、2000万人のやけど患者を救ったという。  

 訴状によると、徐氏は「自分こそが10年前に問題の発見をした科学者であり、従ってノーベル会議の声明は誤りで、称賛されるべき自分の評価を傷つけるものだ」と主張。「訴訟の主目的は、誤解を招く誤ったノーベル会議の声明を正すことだ」と説明している。  

 AFPはノーベル会議とガードン氏に電子メールでコメントを求めているが、これまでのところ回答は得られてない。(c)AFP