【12月6日 AFP】都市の迷惑行為として悪評高いタバコの吸殻が、メキシコのスズメにとっては貴重な恵みだったとする研究が、5日の英国王立協会(British Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に掲載された。スズメたちは吸い殻を巣に組み込んでひな鳥のベッドにしていたばかりでなく、巣に害虫が付くのを防ぐのに活用していたという。

 メキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)のコンスタンチノ・マシアス・ガルシア(Constantino Macias Garcia)氏率いる研究チームは、メキシコの首都メキシコ市(Mexico City)に生息するスズメとアトリの巣、計57個を観察。巣の中の吸い殻の量が増えるほど害虫の数が減少することを突き止めた。

 スズメの巣の中からは0~38本(平均8本)の吸殻が見つかり、アトリの巣には0~48本(平均10本)の吸い殻が組み込まれていた。吸い殻に含まれるニコチンが害虫を追い払うのに役立っていると考えられるという。

 研究チームでは、鳥類が都市環境に適応する興味深い実例だと述べている。

 都市部以外では一部の鳥が、芳香植物を巣に使っていることが知られている。芳香植物は抗寄生虫効果があり、ひな鳥の免疫系を刺激するとされている。

 たばこに含まれるニコチンは、農作物の害虫よけなどに使われている。(c)AFP