【12月5日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は3日、探査機「ボイジャー1号(Voyager 1)」が太陽系の端で、これまで全く予測されていなかった「磁気ハイウエー」に遭遇したと発表した。

 打ち上げから35年経つボイジャー1号は今年、主要指標の値が上昇したことから「ヘリオポーズ(太陽圏界面)」と呼ばれる太陽系と星間空間の境界に近づいているとの期待が高まっていた。

 だが、太陽から噴き出る荷電粒子の影響圏から抜け出る代わりに、ボイジャーは全く予測されていなかったものと遭遇した。

 ボイジャー1号から毎日送られてくるデータによると、この領域では低エネルギーの荷電粒子が徐々に減少し、外側から高エネルギー粒子が流れ込んでおり、太陽の磁力線が星間磁場につながっていることが示唆された。

 この領域の外では、荷電粒子がまるでヘリオスフィア(太陽圏)内部の「一般道」にはまったかのように四方八方にに跳ね回っていたことから、プロジェクトチームはこの領域を「磁気ハイウエー」と呼んでいる。

 チームに加わる科学者の1人、米カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)のエドワード・ストーン(Edward Stone)氏は「ボイジャー1号はまだ太陽圏の中にいるが、粒子がこの磁気ハイウエーを高速で出入りしているので、太陽圏の外側がどんな様子なのかを垣間見ることができる。これが星間空間に飛び出す前の最後の区間だと考えている。あと数か月か、長くて2~3年しかかからないだろう。新たな領域はわれわれが予期していなかったものだが、ボイジャーから予想外の何かが届くことは織り込み済みだ」と述べた。

 ボイジャー1号は現在、太陽から約180億キロ離れた位置にある。この距離は地球-太陽間の122倍にあたるが、ボイジャー1号から地球に無線信号が届くには17時間しかかからない。(c)AFP/Mira Oberman