【11月29日 AFP】パンコムギ(学名:Triticum aestivum)のゲノム解析を進めている研究グループは28日、解析に向けた大きな進展があったと発表した。生活に欠かせない作物であるパンコムギのDNAは非常に複雑なことで知られている。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された研究結果によると、グループはパンコムギの遺伝子9万4000~9万6000個を解析した。遺伝子のシーケンシングによって、育種家は収穫量が多く、洪水や干ばつ、塩性土壌に強い系統のパンコムギを見つけやすくなる。

 現在、世界人口のカロリー摂取量の約20%がパンコムギで賄われている。世界の人口増加が続き、気候変動の食物生産への影響もある中で、コメ、トウモロコシと並び世界3大穀物の1つであるパンコムギの重要性は高まる一方だと専門家は指摘する。

 研究を率いた英リバプール大学(University of Liverpool)のニール・ホール(Neil Hall)氏は、パンコムギのゲノムが完全に解析できるまでさらに数年かかるかもしれないが、現在では2001年に概要が発表されたヒトゲノムの解析で使われたシステムより数百倍速くDNAを読み取る装置があると述べた。(c)AFP