【11月19日 AFP】映画『ロード・オブ・ザ・リング(Lord of the Rings)』に「滅びの山(Mount Doom)」として登場したニュージーランド・北島(North Island)の火山、ルアペフ山(Mount Ruapehu、2797メートル)に噴火の恐れが出ている。

 ニュージーランド自然保護局(DOC)が19日に登山者向けに出した警告によると、温度測定の結果が同国最大の活火山であるルアペフ山の噴火リスクが上昇していることを示しているという。

 ニュージーランド地質核科学研究所(GNS Science)によると、ルアペフ山の火口湖の地下数百メートルの温度が800度に上昇していると推定されている。一方、湖の温度は20度だった。噴気孔の一部はふさがった状態にあるとみられ、地下の圧力上昇によって数週間から数か月以内に噴火する可能性があるという。

 2007年に起きたルアペフ山の前回の噴火では、ラハール(土石を交えた速い水の流れ)による被害が山麓で発生したものの死傷者は出なかった。だが1953年の噴火では、ルアペフ山から流れ出たラハールが鉄道橋と旅客列車を押し流し、151人が死亡するというニュージーランド史上最悪の鉄道事故を引き起こしている。

『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン(Peter Jackson)監督は、ルアペフ山と、隣接するナウラホイ山(Mount Ngauruhoe)を使って劇中の「滅びの山」を表現した。今年8月にはルアペフ山、ナウラホイ山に近いトンガリロ山(Mount Tongariro)が噴火した。この時には高度6100メートルにまで達した火山灰が北島に降り注ぎ、国内の空の便が乱れた。(c)AFP