【11月15日 AFP】欧州南天天文台(European Southern ObservatoryESO)は14日、恒星系からはぐれ宇宙の中を孤独にさまよう「浮遊惑星」を発見したと発表した。

CFBDSIR2149」と呼ばれるこの天体は、何らかの理由で母なる星の引力が及ぶ範囲から外れたと考えられている。宇宙空間を自由に漂う惑星は以前にも発見されていたが、この惑星と地球との距離は100光年余りで、これまで見つかった中では地球から最も近い。

 カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(Canada-France-Hawaii Telescope)の赤外線カメラや、南米チリにESOが持つ世界で6番目に大きな光学望遠鏡「VLTVery Large Telescope)」を使った観測により、この星が「かじき座AB運動星団(AB Doradus Moving Group)」と呼ばれる若い恒星の集まりの近くを漂っていることが分かった。

■虚空を漂う孤独な星

 カナダ・モントリオール大学(University of Montreal)の天体物理学者リゾン・マロ(Lison Malo)氏によると、この星団はほぼ同じ年齢や組成の恒星約30個が一緒になって宇宙空間を移動している珍しい星団。当初の観測でCFBDSIR2149は、サイズが小さいために核融合反応を起こせず光を発しない「褐色矮星(わいせい)」の可能性もあると考えられていたが、かじき座AB運動星団との関連が明らかになったことで浮遊惑星と判断することが可能になったという。

 観測チームの推定によるとCFBDSIR2149の年齢は5000万~1億2000万歳で、表面温度はセ氏400度程度、質量は太陽系で最大の惑星である木星の4~7倍だという。

 仏グルノーブル惑星・天体物理学研究所(Institute of Planetology & Astrophysics of Grenoble)のフィリップ・ドロルム(Philippe Delorme)氏は、「こういった天体を調べることにより、惑星がどのようにしてその惑星系の外にはじき出されるのか、あるいは非常に軽い天体がどのようにして恒星の形成過程で生まれ得るのかについての理解を深めることができる」と話している。

 また同氏は、「もしこの小天体がもといた恒星系からはぐれた惑星なら、宇宙の虚空の中を漂う孤児という強烈なイメージを喚起する発見だ」とも語った。(c)AFP