マヤ文明は「気候変動によって滅んだ」、国際研究
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【11月9日 AFP】古代マヤ文明の崩壊は気候変動が原因だとする仮説を裏付ける新しい研究結果が、9日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。国際チームによるこの研究によると、マヤ文明は長期の干ばつによって滅んだという。
英ダラム大学(Durham University)のジェームズ・バルディーニ(James Baldini)氏は8日、声明で「マヤ文明の盛衰は、高度な文明が気候変動にうまく順応できなかった事例の1つだ」と述べた。
同氏によると、マヤ文明では降雨量の多い時期が続いたため農作物の生産量が増え、人口が爆発的に増加した。だが、それは資源の枯渇を招き、さらに雨量が次第に減少していったため、政治は不安定化し戦争が起きるようになったという。そして最終的に、1020年から100年近く続いた干ばつがマヤ文明の崩壊を決定的なものとしたという。
この研究では、古代マヤ文明の中心地の1つであるベリーズのウシュベンカ(Uxbenka)遺跡近くにある洞窟の石筍(せきじゅん)を調べ、同地域で過去2000年間に起きた気候変動の記録を探った。石筍は洞窟内に滴り落ちる石灰質の水によって形成されるため、これを分析すれば過去の降雨量を知ることができる。
こうして得た分析結果を、古代マヤ人が石碑に刻んで残した政治的な出来事の詳細な記録と照らし合わせた結果、戦争や騒乱の増加と干ばつとの間に関連性が見られたという。
声明によると、マヤ文明の衰退に気候変動が関係している可能性はこれまでにも示唆されてきたが、気候をめぐる過去の記録には信頼性が低いとして研究者の中でも見解が分かれていた。(c)AFP