【11月5日 AFP】サメと人間の脳には、いくつかの類似した特徴がある──豪ウエスタンオーストラリア大学(University of Western Australia)の研究者らによるこの研究が、ホホジロザメを追い払うための新たな「サメよけ」の開発につながるかもしれない。

 これまでに150種以上のサメの脳の解剖を行った同大学のカラ・ヨパック(Kara Yopak)博士は、「ホホジロザメの脳は視覚入力に関わる部分が非常に大きいという点で、人間の脳と類似している」と説明する。サメはこれまで考えられていた以上に、視覚的に「サメよけ」に反応する可能性があるとした。

 一例を挙げると、サメは毒を持つウミヘビの体の模様を認識して近付かないようしている可能性があり、サメにそのような対応を促す情報を理解することで、サメを(効率的に)追い払うことが出来るようになる。「神経生物学の観点から、彼ら(の行動)にいかに影響するかを理解することが重要だ」と同博士は語る。

 現在市場に出回っている「サメよけ」の多くは、強い電気信号を発することでサメを遠ざける。これは頭部にある孔で電流を感知し獲物を捕食するサメの習性を利用した仕組みだ。サメは獲物が発する弱電流を感知し、その位置を確認することが分かっている。

 だがヨパック博士は、これらの製品について、完全にホホジロザメを遠ざけることができていないと指摘し、「サメの脳がどのように働くかを理解することが、新しいサメよけの開発には不可欠だ。新しいサメよけは、サーフボードやウェットスーツに何らかの模様を施すといった簡単なものにもなり得る」と述べた。

 オーストラリアではホホジロザメの攻撃による死傷者が多数出ており、西岸部だけでも、ここ10か月で5人が死亡している。ウエスタンオーストラリア州政府はこうした状況を受け対策を強化。今年9月には、浜辺に近づきすぎたサメは捕獲して殺処分することを決めている。

 同州政府はサメ被害の防止に向けた研究活動を支援しており、サメよけ技術の開発もその一つとなっている。(c)AFP