ヘビの毒から鎮痛効果のあるペプチドを発見、仏研究チーム
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【10月9日 AFP】アフリカに生息する毒ヘビ「ブラックマンバ」の毒から、副作用の無い鎮痛剤の開発に応用可能なペプチドを発見したとする論文を、フランスの研究チームが3日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。このペプチドを使えば、モルヒネよりも安全な鎮痛剤を作り出すことができるかもしれないという。
研究チームはマウスを使った実験で、ブラックマンバの毒から分離されたペプチドが、モルヒネなどのオピオイド化合物がターゲットとするのと同じ脳内レセプター(受容体)と結合することを発見した。オピオイド化合物が時折引き起こす呼吸困難や吐き気といった副作用が無いほか、依存作用や薬物乱用のリスクも低いという。
論文を共同執筆したフランス国立科学研究センター(CNRS)のアン・バロン(Anne Baron)氏がAFPに語ったところによると、「マンバルジン(mambalgin)」と命名されたこの天然ペプチドをマウスに投与したところ、毒作用を引き起こさずに痛みを大幅に軽減することができた。「世界で最も危険な類の毒ヘビが持つ猛毒から、このような発見がなされたのは驚くべきことだ」と同氏は述べている。
モルヒネは激しい痛みを和らげる際に最適な薬とされることが多いが、幾つかの副作用がある他、依存を生むリスクもある。
アフリカの東部と南部に生息するブラックマンバは、ヘビの中でも最も速く作用する毒を持つ1種で、特にマウスを好んで餌としている。致死性が高く、人がかまれた場合は即座に抗毒素を投与する必要があり、治療が遅れると毒が中枢神経系にまわり呼吸器官が麻痺する。
バロン氏は、新ペプチドの人体への応用についてはまだ多くの研究が必要だとしつつ、研究チームは鎮痛剤への応用を非常に有望視していると語った。特許は既に取得済みで、現在は製薬会社が新薬に応用可能かどうか調査しているという。(c)AFP