【9月4日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は8月31日、地球周辺の宇宙空間に存在する高エネルギー粒子に満ちた放射線帯「ヴァン・アレン帯(Van Allen Belts)」を描いた画像を公開した。緑色のドーナツ型(輪環体)に描かれた内側と外側の放射線帯の間やその周辺にある青・赤の線は、地球の磁場のN極・S極を示している。

 内側の放射線帯は陽子と電子が混ざったもので、地表に最も近いところでは高度1000キロ程度。外側の放射線帯は主に高エネルギー電子から成り、地表から最も遠いところでは地表から高度6万キロにまで達する。いずれも北緯65度~南緯65度程度にまで広がっている。

 ヴァン・アレン帯は、米国初の人工衛星「エクスプローラー1号(Explorer 1)」により発見された。衛星には米物理学者ヴァン・アレン(Van Allen)氏のチームにより宇宙線を検出するためのガイガーミューラー計数管が取り付けられていた。地球の偏心軌道に乗った衛星からは計数管が測定可能なレベルを超える放射線が周期的に検出された。

 それから54年経つ今年、NASAはヴァン・アレン帯内のダイナミックで不安定な宇宙天気を調査するミッションを開始した。東部夏時間の8月30日午前4時5分(日本時間同日午後5時5分)、米フロリダ(Florida)州ケープカナベラル空軍基地(Cape Canaveral Air Force Station)から放射線帯嵐探査機「RBSP」2機を搭載したユナイテッド・ローンチ・アライアンス(United Launch Alliance)のロケット「アトラス5(Atlas 5)」が打ち上げられた。

 このミッションはNASAの「Living With a Star(星と共に生きる)」計画の一環。探査機の運用は製造も担当した米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)応用物理学研究所(Applied Physics Laboratory)が行う。(c)AFP