【8月21日 AFP】ラオス北部で東南アジア最古とみられる現生人類の頭骨が発見され、同地域への人類の到達がこれまで考えられていたよりも約2万年早かった可能性があることが、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)が20日掲載した研究結果により明らかになった。

 頭骨化石は2009年、同国北部のアンナン山脈(Annamite Mountains)にある洞窟内の深さ2メートル以上の地中から発掘され、複数の年代測定方法を用いて4万6000~6万3000年前のものと特定された。

 またこの発見により、アフリカからオーストラリアへと移住した初期の人類が、一部の研究者が主張するようにアジアの海岸沿いを移動しただけではなく、不慣れな内陸へも進出していたことも明らかになった。

 研究論文の共同執筆者、米イリノイ大学(University of Illinois)アーバナ・シャンペーン(Urbana-Champaign)校のローラ・シャックルフォード(Laura Shackelford)氏は、「この化石発見により、アフリカから東アジア・東南アジアへの移住が比較的速い速度で進み、そこに一度到達した現生人類がそれより以前とは違った環境にも住み始めていた可能性があることが分かった」と話している。

 発見場所の洞窟からは他の遺物が見つかっていないことから、ここが住居や埋葬場所としては使われていなかったと推測されている。また、化石が見つかった地層は4万6000~5万1000年前のものであったため、頭骨の主は近くの別の場所で死に、遺体が洞窟まで流されたものとみられている。(c)AFP