【8月10日 AFP】米航空宇宙局(NASA)が開発中の無人月着陸船「モーフィアス(Morpheus)」が9日、打ち上げからわずか数秒後に墜落し炎上した。NASAによると、機材の故障が原因とみられる。死傷者は出なかった。

 モーフィアスは、最大で約500キロの物資を月や小惑星などへ運搬する目的で設計された低コストの着陸船。人間型ロボットや小型探査車、月のちりを酸素に変換する小型実験装置などを運ぶ予定だった。

 だが9日に米フロリダ(Florida)州のケネディ宇宙センター(Kennedy Space Center)で行われた打ち上げ試験で、モーフィアスの試作機は離陸には成功したものの、初となる自動運転試験に失敗して墜落し、炎上した。駆け付けた消防隊により炎は消し止められた。

 NASAはハードウエア構成部品の故障で安定飛行が妨げられたことが墜落の原因だったと発表。NASAの技術者らが故障の原因を調査中だという。NASAは「このような失敗は試験前から想定されていたことで、宇宙船の複雑な開発過程の一部だ」と説明し、今回の試験から学んだことを今後の開発に生かしていくと語った。

 月面や小惑星着陸時の環境への配慮を高めた着陸船の開発を目指した同プロジェクトに、NASAは700万ドル(約5億5000万円)を投入してきた。

 モーフィアスに搭載された推進システムは、酸素とメタンを使った新式のもの。酸素とメタンはNASAが通常使用しているロケット燃料より環境負荷が少ないうえ、地球以外の惑星でも製造が可能だという。

 モーフィアス炎上事故の数日前、NASAは火星における生命の痕跡発見を目的とした無人探査車キュリオシティー(Curiosity)の火星着陸を成功させている。(c)AFP