【7月19日 AFP】インドネシア東部パプア(Papua)州で、餌を食べようと漁網に群がるジンベイザメのユニークな習性を生かして、保護調査を目的とした小型無線機をジンベイザメに取り付けることに成功した。世界自然保護基金(WWF)が17日、明らかにした。

 ジンベイザメは体長が13.7メートルにもなる大型のサメだが、人間を襲うことはない。国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)で、絶滅の危険が増大している「絶滅危惧II類」に分類されている。

 パプア州チェンデラワシ湾(Cenderawasih Bay)のジンベンザメには、網にかかった魚を食べようと漁師の網に集まってくる習性がある。漁網の穴に口を付けて吸い込むように魚を食べるジンベイザメの映像は動画共有サイトユーチューブ(YouTube)で100万回以上視聴されている(http://bit.ly/LzvA2t)。

 WWFのプロジェクトチームは前月、漁網に集ったジンベイザメ30匹の皮下に大きさが錠剤程度の小さな無線タグ(RFID)を埋め込むことに成功した。

 WWFインドネシア支部のプロジェクトリーダー、ベニー・アディアン・ノール(Beny Ahadian Noor)氏によれば、イヌなどの小型動物用の無線タグをジンベンザメに取り付けた例は初めて。これまで用いていた衛星を利用した位置特定システムは4000ドル(約32万円)と高価だったが、無線タグならば1個あたり、わずか4ドル(約320円)の出費ですむ。

 このプロジェクトに加わった海洋生物学者のマーク・アードマン(Mark Erdmann)氏も、海中で泳ぐジンベイザメの後をダイバーが追って無線機を取り付けることは非現実的な話であり、漁網にかかった魚を食べに自ら群がってくるというチェンデラワシ湾のジンベイザメの習性があってこそ可能になったと話した。(c)AFP