NASAの「ヒ素で生きる細菌」発見は誤り、米科学誌が反証論文を掲載
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【7月10日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の支援を受けた研究チームが2010年に発表して話題になったヒ素を摂取して成長する細菌を発見したという研究は誤りだとする2本の研究論文が8日、米科学誌サイエンス(Science)電子版に発表された。
2010年12月、当時NASA宇宙生物学プログラムの特別研究員だったフェリッサ・ウルフ・サイモン(Felisa Wolfe-Simon)氏が率いる研究チームは、生命の維持に必要とされるリンの代わりにヒ素を摂取する細菌「GFAJ-1」を米カリフォルニア(California)州のモノ湖(Mono Lake)で発見したと発表した。ウルフ・サイモン氏らはサンプルに含まれていたリンは非常に少なく、GFAJ-1の成長に十分ではないレベルだと判断した。
だが8日夜に米科学誌サイエンスが発表した声明によれば、今回発表された2本の論文はサンプル中にGFAJ-1の成長に十分なリンが含まれていたとの結論に至っている。
うち1本の論文は米プリンストン大学(Princeton University)、カナダのブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)、米ハワード・ヒューズ医療研究所(Howard Hughes Medical Institute)の研究者らがまとめたもので、この細菌はDNA全体のリンをヒ素で代用しているわけではなく、「時折、一部の小分子の中にリン酸塩の代わりにヒ酸塩を取り込む」にすぎないと指摘している。
もう1本はスイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH Zurich)微生物学研究所(Institute of Microbiology)の研究チームが執筆したもので、この細菌は高濃度のヒ素の中でも生きられる一方、生存と成長のためにはリンが必要だとしている。
同誌はこれらの論文を踏まえ、GFAJ-1はヒ素で成長する新たな生命体ではなく、「高濃度のヒ素を含む環境によく適応した極限性微生物」だと結論付けた。
ウルフ・サイモン氏はAFPに送った声明で、これら2本の論文のデータは「私たちの論文と整合性がある」と述べた上で、同氏の研究チームは数か月以内に新たな情報を発表する予定だと明かした。(c)AFP/Kerry Sheridan
2010年12月、当時NASA宇宙生物学プログラムの特別研究員だったフェリッサ・ウルフ・サイモン(Felisa Wolfe-Simon)氏が率いる研究チームは、生命の維持に必要とされるリンの代わりにヒ素を摂取する細菌「GFAJ-1」を米カリフォルニア(California)州のモノ湖(Mono Lake)で発見したと発表した。ウルフ・サイモン氏らはサンプルに含まれていたリンは非常に少なく、GFAJ-1の成長に十分ではないレベルだと判断した。
だが8日夜に米科学誌サイエンスが発表した声明によれば、今回発表された2本の論文はサンプル中にGFAJ-1の成長に十分なリンが含まれていたとの結論に至っている。
うち1本の論文は米プリンストン大学(Princeton University)、カナダのブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)、米ハワード・ヒューズ医療研究所(Howard Hughes Medical Institute)の研究者らがまとめたもので、この細菌はDNA全体のリンをヒ素で代用しているわけではなく、「時折、一部の小分子の中にリン酸塩の代わりにヒ酸塩を取り込む」にすぎないと指摘している。
もう1本はスイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH Zurich)微生物学研究所(Institute of Microbiology)の研究チームが執筆したもので、この細菌は高濃度のヒ素の中でも生きられる一方、生存と成長のためにはリンが必要だとしている。
同誌はこれらの論文を踏まえ、GFAJ-1はヒ素で成長する新たな生命体ではなく、「高濃度のヒ素を含む環境によく適応した極限性微生物」だと結論付けた。
ウルフ・サイモン氏はAFPに送った声明で、これら2本の論文のデータは「私たちの論文と整合性がある」と述べた上で、同氏の研究チームは数か月以内に新たな情報を発表する予定だと明かした。(c)AFP/Kerry Sheridan