【6月8日 AFP】横浜市立大(Yokohama City University)の研究チームが、あらゆる細胞に変化できるとされる人工多能性幹細胞(iPS細胞)から人間の肝臓を作成することに成功した。読売新聞が8日、伝えた。移植を必要とする患者のための人工臓器作成に希望をもたらしそうだ。

 同紙によると、谷口英樹(Hideki Taniguchi)教授率いる同大チームは、ヒトのiPS細胞をマウスに移植し、肝細胞に変わる一歩手前の前駆(ぜんく)細胞に変化させた。次にこれをマウスの頭部に移植し、人間の肝臓に成長させることに成功した。肝臓は直径5ミリ程度と小さいが、ヒトタンパク質を合成したり、薬剤を分解するなど機能しているという。

 胚性幹細胞(ES細胞)は胎児への成長過程に当たる胚(はい)から抽出されることが多く、抽出後は廃棄されることから、倫理的に異議を唱える声もある。しかしiPS細胞は成人からも抽出・培養できる。(c)AFP