【5月31日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は30日、ブラックホールの発見に使う高エネルギーX線撮影装置を搭載した高性能宇宙望遠鏡を来月打ち上げる予定だと発表した。

 打ち上げ準備が進められているのは「NuSTARNuclear Spectroscopic Telescope Array、核分光望遠鏡アレイ)」と呼ばれる望遠鏡。NASAの主任研究員も務める、米カリフォルニア工科大(California Institute of Technology)のフィオナ・ハリスン(Fiona Harrison)教授によれば、「ブラックホールや爆発する大質量星などの非常に高温かつ高密度、高エネルギーの宇宙現象」の調査を目的としている。

 ハリスン教授は「(NuSTARは)宇宙への全く新しい窓を開くことになる」と語る。NuSTARは「高エネルギーX線の集束が可能な初めての望遠鏡で、このスペクトル領域を使用する従来望遠鏡より10倍鮮明な画像を撮影することができ、感度は100倍」だという。

 望遠鏡は、米オービタル・サイエンス(Orbital Sciences)が開発した航空機「スターゲイザー(L-1011 Stargazer)」の胴体下部に取り付けられる同社開発のロケット「ペガサスXL(Pegasus XL)」に搭載され、空中から宇宙に打ち上げられる。

 打ち上げに向けた飛行準備審査会(FRR)は来月1日に行われ、問題がなければ同5日から6日にかけてスターゲイザーが米カリフォルニア(California)州中部のバンデンバーグ空軍基地(Vandenberg Air Force Base)からマーシャル諸島のクエゼリン環礁(Kwajalein Atoll)に飛び、その1週間後の来月13日に打ち上げられる予定。(c)AFP

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