耐塩性の小麦を開発、食糧危機緩和に期待 豪大
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【3月19日 AFP】塩類土壌でよく育つ小麦の新品種を開発したと、豪大学の研究チームが11日の英科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」に発表した。水問題や気候変動の中で増え続ける世界人口にいかに食糧を供給するか、という今日の課題において大きな前進となる。
品種改良に使われたのは、パスタやブルグア、クスクスなどに使われるデュラム小麦。パン用の小麦品種と比べて塩分に弱い特性があった。
豪アデレード大学(University of Adelaide)のマシュー・ギリハム(Matthew Gilliham)氏率いる研究チームは、植物の根から葉に送られる水分中のナトリウムを取り除く作用がある遺伝子「TmHKT1;5-A」を組み込んだ新品種のデュラム小麦を開発。塩類濃度の高い土壌で試験を行ったところ、従来品種と比べて25%も収穫量が増えたという。
「TmHKT1;5-A」は小麦の古い品種から発見された。研究チームは遺伝子組み換え技術は用いず、伝統的な交雑育種法を使って小麦の商業品種にこの遺伝子を挿入し、新品種を開発した。
■増え続ける食糧需要
一部推計によれば、2050年までに世界人口が現在の70億人から90億人に増え、これに伴って世界の食糧需要は70%増加する見通しだ。また、気候変動が降雨パターンに変化をもたらすため、食糧問題はさらに厳しいものになるとみられる。
また、乾燥・準乾燥地帯にある発展途上国では、土壌の塩分濃度が元から高かったり灌漑(かんがい)用水に高濃度の塩分が含まれていたりするため、塩害が既に深刻な問題になっている。
■耐塩性イネの研究も
1月には、英国と日本の研究チームが、有用な遺伝子を従来よりも迅速に特定する手法を開発した。耐塩性のあるイネを、伝統的な手法を用いて迅速に開発可能になるとして、まずは前年の東日本大震災で津波被害を受け、塩害に悩まされる農地への作付けに期待が集まっている。
東日本大震災では約2万ヘクタールの水田が浸水。従来のイネ品種では栽培が困難な状態になっている。(c)AFP
品種改良に使われたのは、パスタやブルグア、クスクスなどに使われるデュラム小麦。パン用の小麦品種と比べて塩分に弱い特性があった。
豪アデレード大学(University of Adelaide)のマシュー・ギリハム(Matthew Gilliham)氏率いる研究チームは、植物の根から葉に送られる水分中のナトリウムを取り除く作用がある遺伝子「TmHKT1;5-A」を組み込んだ新品種のデュラム小麦を開発。塩類濃度の高い土壌で試験を行ったところ、従来品種と比べて25%も収穫量が増えたという。
「TmHKT1;5-A」は小麦の古い品種から発見された。研究チームは遺伝子組み換え技術は用いず、伝統的な交雑育種法を使って小麦の商業品種にこの遺伝子を挿入し、新品種を開発した。
■増え続ける食糧需要
一部推計によれば、2050年までに世界人口が現在の70億人から90億人に増え、これに伴って世界の食糧需要は70%増加する見通しだ。また、気候変動が降雨パターンに変化をもたらすため、食糧問題はさらに厳しいものになるとみられる。
また、乾燥・準乾燥地帯にある発展途上国では、土壌の塩分濃度が元から高かったり灌漑(かんがい)用水に高濃度の塩分が含まれていたりするため、塩害が既に深刻な問題になっている。
■耐塩性イネの研究も
1月には、英国と日本の研究チームが、有用な遺伝子を従来よりも迅速に特定する手法を開発した。耐塩性のあるイネを、伝統的な手法を用いて迅速に開発可能になるとして、まずは前年の東日本大震災で津波被害を受け、塩害に悩まされる農地への作付けに期待が集まっている。
東日本大震災では約2万ヘクタールの水田が浸水。従来のイネ品種では栽培が困難な状態になっている。(c)AFP