【3月16日 AFP】オーストラリアと中国の研究者からなる研究チームは14日、中国で発見された未知の原始人類の可能性がある化石についての論文を、米科学誌「プロスワン(PLoS ONE)」に発表した。

「紅鹿人」とも呼ばれるこの原始人類の化石は、1万1500年から1万4500年前のもので、現代人と原始人類の特徴が混ざっているようだという。

 1989年に中国・雲南(Yunnan)省の馬鹿洞(Maludong)で頭蓋骨と歯を含む少なくとも3人の化石が発見されていたが、これらの化石は2008年まで調査されていなかった。さらに隣接する広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)隆林(Longlin)の村で1979年に見つかっていた骨格の一部の化石が、2009年になって岩石から取り出された。

 論文の主著者、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大(University of New South Wales)のダレン・カーノー(Darren Curnoe)教授は「発見された化石は約1万1000年前の氷河期末期まで生きていた未知の種である可能性がある」と指摘し、「これまでに知られていたよりも早い時期にアフリカ大陸を出たものの、現代人に遺伝子を残さなかった原始人類の化石かもしれない」と述べた。

 3万年前まで存在したネアンデルタール人(Neanderthals)をはじめとする原始人類の化石や遺跡の多くは欧州やアフリカで発見されており、アジアではそれほど発見されていない。紅鹿人が見つかるまで、東アジアの大陸では10万年前以降の原始人類の化石は見つかっていなかったが、今回の発見でアジアにも原始人類が存在した可能性が出てきたと研究者たちは話している。
 
 カーノー教授は「紅鹿人の化石の発見は、人類の進化という物語のなかでアジアという新しい一章を開くことになるかもしれない。解明への道はスタートしたばかりだ」と語った。(c)AFP