お金持ちほど人をだます傾向あり、米研究
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【2月29日 AFP】社会的地位の高いお金持ちはそれ以外の人々よりも、交通ルールを守らず、子供のキャンディーを横取りし、金銭的利益のためにうそをつく傾向があるとする研究結果が、27日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。
米カリフォルニア大学バークレー校(University of California at Berkeley)とカナダ・トロント大(University of Toronto)の心理学者チームは、米国で行った人間行動に関する7つの実験を分析した。
ある実験では、メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)やBMW、トヨタ(Toyota)のプリウス(Prius)などの高級車のドライバーは、カムリ(Camry)やカローラ(Corolla)などの大衆車のドライバーに比べて、交差点での交通ルールを守らない傾向があることが分かった。高級車ドライバーはまた、大衆車ドライバーよりも、道路を横断しようとする歩行者を優先しない傾向があった。
サイコロを使った別の実験では、サイの目が大きいと50ドル(約4000円)の賞金をもらえるというゲームを行ったところ、社会経済的な地位が高いと自己申告した人では、実際の目よりも大きい数を言う頻度が高かった。「50ドルなど大した金ではない階級の人々がうそをつく頻度は(低所得者層の)3倍だった」と、論文の主執筆者であるカリフォルニア大バークレー校のポール・ピフ(Paul Piff)氏は言う。
また、自分を雇用者と仮定し、近く廃止する部署であると知りながらもその部署を希望する求職者と面談するという設定では、高い地位の人ほど事実を隠す傾向があった。
別の実験では、キャンディーが詰まったポットを「近くの研究所の子供たち用」だと言って渡し、「好きならいくつかとっても構わない」と言い添えた場合、お金持ちほど多くのキャンディーをとる傾向があった。平均して、お金持ちがとったキャンディーの量は(お金持ちではない人の)2倍だった。富裕層の施しの量が貧しい人よりも少ない傾向があることを見出しつつあるピフ氏も、お金持ちが子供のお菓子を横取りするというこの事実には驚きを禁じ得ないと言う。
さらに、自分の社会的地位が高いと思い込ませる実験では、社会的地位が他の人より高いという認識が、貪欲さを増し、例えば、実際より多くのおつりをもらっても黙ってとっておくなど、倫理的な行動規範も薄れる可能性があることも明らかになった。
■富と自立が他人への感受性弱める
以上の実験結果は「上流階級の個人の間で文化的に共有されているいくつかの規範」を浮き彫りにした、と、論文は述べる。
例えば、富裕層は貧しい人よりも自立し、財産も多いため、「他人が自分をどう思うか」が貧しい人よりも気にならないかもしれないという。
ピフ氏によれば、お金を持っている人ほど、貪欲さを肯定的にとらえ、ピンチの時には家族や友人を頼らない傾向がある。こうした「気高さ」が自身を社会から切り離した存在にしているという。「日常生活の極めて異なるレベルでの特権が自立性を生み、自分の行為が他人の幸福へ及ぼす影響への感受性を弱めると同時に自己の利益を最優先させる結果を生んでいる」(ピフ氏)
だが、論文は、慈善活動を行っている億万長者、ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏やウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏などの例外が存在することも指摘する。また、貧困と凶悪犯罪の関連性を示した以前の研究は、貧しい人が必ずしもお金持ちより倫理観が高いわけではないことを示している。
ただし論文は、「私利私欲は社会のエリート層のより根本的な動機であり、富の蓄積と地位の向上に関連したもっと欲しいという欲求は不正行為を助長しかねない」と指摘する。
なお、実験はそれぞれ100~200人の米国人を対象に行われたが、「結果は米国外の社会にも当てはまるだろう」とピフ氏は言う。これらのパターンは、特に、格差の大きい社会で顕著に表れることが予想されるという。(c)AFP/Kerry Sheridan
米カリフォルニア大学バークレー校(University of California at Berkeley)とカナダ・トロント大(University of Toronto)の心理学者チームは、米国で行った人間行動に関する7つの実験を分析した。
ある実験では、メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)やBMW、トヨタ(Toyota)のプリウス(Prius)などの高級車のドライバーは、カムリ(Camry)やカローラ(Corolla)などの大衆車のドライバーに比べて、交差点での交通ルールを守らない傾向があることが分かった。高級車ドライバーはまた、大衆車ドライバーよりも、道路を横断しようとする歩行者を優先しない傾向があった。
サイコロを使った別の実験では、サイの目が大きいと50ドル(約4000円)の賞金をもらえるというゲームを行ったところ、社会経済的な地位が高いと自己申告した人では、実際の目よりも大きい数を言う頻度が高かった。「50ドルなど大した金ではない階級の人々がうそをつく頻度は(低所得者層の)3倍だった」と、論文の主執筆者であるカリフォルニア大バークレー校のポール・ピフ(Paul Piff)氏は言う。
また、自分を雇用者と仮定し、近く廃止する部署であると知りながらもその部署を希望する求職者と面談するという設定では、高い地位の人ほど事実を隠す傾向があった。
別の実験では、キャンディーが詰まったポットを「近くの研究所の子供たち用」だと言って渡し、「好きならいくつかとっても構わない」と言い添えた場合、お金持ちほど多くのキャンディーをとる傾向があった。平均して、お金持ちがとったキャンディーの量は(お金持ちではない人の)2倍だった。富裕層の施しの量が貧しい人よりも少ない傾向があることを見出しつつあるピフ氏も、お金持ちが子供のお菓子を横取りするというこの事実には驚きを禁じ得ないと言う。
さらに、自分の社会的地位が高いと思い込ませる実験では、社会的地位が他の人より高いという認識が、貪欲さを増し、例えば、実際より多くのおつりをもらっても黙ってとっておくなど、倫理的な行動規範も薄れる可能性があることも明らかになった。
■富と自立が他人への感受性弱める
以上の実験結果は「上流階級の個人の間で文化的に共有されているいくつかの規範」を浮き彫りにした、と、論文は述べる。
例えば、富裕層は貧しい人よりも自立し、財産も多いため、「他人が自分をどう思うか」が貧しい人よりも気にならないかもしれないという。
ピフ氏によれば、お金を持っている人ほど、貪欲さを肯定的にとらえ、ピンチの時には家族や友人を頼らない傾向がある。こうした「気高さ」が自身を社会から切り離した存在にしているという。「日常生活の極めて異なるレベルでの特権が自立性を生み、自分の行為が他人の幸福へ及ぼす影響への感受性を弱めると同時に自己の利益を最優先させる結果を生んでいる」(ピフ氏)
だが、論文は、慈善活動を行っている億万長者、ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏やウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏などの例外が存在することも指摘する。また、貧困と凶悪犯罪の関連性を示した以前の研究は、貧しい人が必ずしもお金持ちより倫理観が高いわけではないことを示している。
ただし論文は、「私利私欲は社会のエリート層のより根本的な動機であり、富の蓄積と地位の向上に関連したもっと欲しいという欲求は不正行為を助長しかねない」と指摘する。
なお、実験はそれぞれ100~200人の米国人を対象に行われたが、「結果は米国外の社会にも当てはまるだろう」とピフ氏は言う。これらのパターンは、特に、格差の大きい社会で顕著に表れることが予想されるという。(c)AFP/Kerry Sheridan