【2月23日 AFP】約3万2000年前にリスが地中に埋めたままシベリア永久凍土層に眠っていたナデシコ科の植物の実から、花を咲かせることに成功したと、ロシア科学アカデミー(Russian Academy of Sciences)の研究チームが21日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表した。古代生物学上の快挙であるだけでなく、この技術を活用すれば、絶滅した植物を復活させることも夢ではないという。

 開花したのは、ナデシコ科のスガワラビランジ(学名:Silene stenophylla)で、よみがえらせることに成功した最古の植物となる。

 種は、シベリア(Siberia)地方のコリマ(Kolyma)川下流域の地下20~40メートルの地層で発掘されたリスの冬眠用の巣穴の中で見つかった。放射性炭素年代測定法によると3万1800年前(誤差プラスマイナス300年)のもの。永久凍土が冷蔵庫の役割を果たし、巣穴の中をマイナス7度に保ち続けてきた。同じ地層からはマンモスや毛サイ、バイソン、ウマ、シカなど、後期更新世の動物の骨も見つかっている。

 研究チームは当初、成熟した種からの発育を目指したが、失敗。実の中で種が結合する胎座組織から発育させてみると、植物を完全に再生することができた。

 これまで開花に成功した最古の植物は、イスラエルの死海(Dead Sea)に近い旧要塞マサダ(Masada)で発見された2000年前のナツメヤシの種だった。(c)AFP